2007年に採択された国際人権法の「先住民族の権利に関する国連宣言」を契機に、世界の教育研究機関・大学の基本姿勢や責任が問われる時代になっています▼昨年の東京大学に続き北海道大学が先日、戦前のアイヌ遺骨盗掘の歴史を反省謝罪しました。世界はいま人種や民族、性別や年齢、価値観の違いなどを尊重し生かす、包摂性や多様性が求められている証しです▼アイヌとはアイヌ語で「人間」を指し、アイヌモシリとは、アイヌ語で「人間の国」の意味です。1869年の「北海道」制定以前の昔から独自の言語、文化、風習などをもち、川べりなどでコタン(集落)ごとに暮らしてきたアイヌ民族は、先住民族です▼「『北海道開拓』とは、アイヌを根絶やしにして同化させ植民地化することだった」。『新版 学問の暴力』の著者でアイヌ遺骨盗掘問題を追ってきた植木哲也さんは指摘します。「北大の児玉作左衛門氏らによる大量遺骨盗掘と『アイヌノ医学的民族生物学的調査研究』も国策に従ったもの。人種や民族には優劣があり、差別と偏見を前提にしたエセ学問ではないか」▼平取町で先祖の遺体が盗掘された木村二三夫さんは「アイヌには『人は土から生まれて土に還(かえ)る』との教えがあるのに和人が盗んでいった。こんな人の道に反することは許されない」▼「サイレント(沈黙の)アイヌではない。アイヌモシリを堂々と生きていきたい」。木村さんの思いは深い。
2026年8月3日

