高市早苗政権が年末に予定する国家安全保障戦略など安保3文書の改定をめぐり、国是である非核三原則の見直しが大きな焦点の一つになっています。高市首相や小泉進次郎防衛相は非核三原則を今後も堅持するとは決して言わず、議論の必要性に繰り返し言及しています。
非核三原則の変更は、核兵器による力と力の対決を強め、周辺諸国との緊張をかつてなく高めることになります。核廃絶を目指す国際的な取り組みに一層の逆流を持ち込み、唯一の戦争被爆国である日本の立場を失墜させます。断じて許されません。
核兵器を「持たず、作らず、持ち込ませず」とした非核三原則は、歴代政府が堅持を表明してきた基本政策です。1967年に佐藤栄作首相が表明し、その後、数度にわたる国会決議で「国是」として確認されてきました。
■「タブーなく議論」
ところが、高市首相は安保3文書の改定に向け、非核三原則の見直しを含め「当然、あらゆる課題についてしっかりと議論の俎上(そじょう)に載せる」と表明しています(7月6日、参院決算委員会)。高市氏は現行の安保3文書策定時(2022年)、閣僚として、非核三原則の「持ち込ませず」を同文書から削除するよう求めたことを著書で明らかにしています。
小泉防衛相は7月17日のインターネット番組で、フィンランドが自国への核兵器持ち込みを認めたことに触れ、「あらゆる政策をタブーなく議論し、進めなければいけない」と語っています。
歴代政府は、非核三原則の堅持を掲げる一方、米国の「核の傘」(拡大核抑止)への依存に固執する矛盾した態度を取ってきました。1960年の日米安保条約改定時には、米軍の艦船や航空機による日本への核持ち込みを認める日米密約を結び、今も廃棄していません。
2010年には民主党政権の岡田克也外相が、核を搭載した米艦船の寄港について、それを認めなければ日本の安全が守れないような緊急事態の場合には、その時の政権が決断すると国会で答弁し、「持ち込ませず」の原則に重大な風穴を開けました。高市政権は、この答弁を引き継いでいるとしています。
■平時に核持ち込み
しかし、今回の非核三原則見直しの狙いは、有事の時だけでなく、平時から米軍による核持ち込みを公然と認めることです。
背景には、トランプ米政権が海洋発射の核巡航ミサイル(SLCM―N)の開発を進めていることがあります。同ミサイルは、日本にもしばしば寄港している米海軍のバージニア級攻撃型原潜や、昨年末に建造計画が発表されたトランプ級戦艦への搭載が想定されています。
今年3月から三沢基地(青森県)への配備が始まった米空軍のF35A戦闘機は核爆弾の搭載も可能です。
非核三原則の見直しは、米国の核戦略への加担をさらに深め、日本を核戦争に巻き込む危険を高めます。こうした愚行を絶対に許さない、党派を超えた運動を大きく広げていくことが急がれます。

