(写真)子どもらに平和について語るアレン・ネルソンさん=2002年11月12日、大分県湯布院町
20世紀に、戦争は国家と社会全体を巻き込んだ「総力戦」と化しました。戦車や毒ガスなどの兵器の出現や一般市民の軍事動員は、甚大な犠牲を世界にもたらしました。第1次世界大戦では約2000万人、第2次世界大戦では約6000万人が死亡したと推計されています。15年におよんだ日本の侵略戦争は、推計で約310万人の日本人死亡者、そしてアジア・太平洋各国に2000万人以上の死亡者を出しました。
2度の世界大戦は、軍事対軍事の「勢力均衡」では平和はつくれないという教訓をもたらしました。また、核兵器の出現と保有国拡大は、人類滅亡の危機を高めました。米国は60年代、ソ連・中国と核戦争が勃発した場合の死者を3億2000万人超と推定。戦争と人類は共存できないことが明白となりました。
パリ不戦条約(28年)や国連憲章(45年)など、戦争を違法化する取り組みは20世紀から続けられ、その努力の到達の上に、憲法9条の「戦争放棄」「戦力不保持」という崇高な理念があります。
21世紀に入ってもなお戦禍は絶えません。しかし、戦争を根絶し、絶対的な平和を獲得するための努力は世界中で続いています。現代を「戦争を克服する時代」にするための理想を体現しているのが平和憲法、憲法9条です。
9条の理想は、戦地に送られた兵士にも響いています。ベトナム戦争で大量虐殺に加担させられ、帰国後は心的外傷後ストレス障害(PTSD)に苦しんだ元米海兵隊員のアレン・ネルソンさん(故人)は、自身の従軍経験から「すべての戦争は悪」と訴え続けました。憲法9条と出会い、その「戦争放棄」の理念を「地球に住むすべての人間にとって大切なもの」と高く評価しました。
ネルソンさんは「皆さんはこれまで9条に守られてきた。今度は皆さんが9条を守るために立ち上がり、声をあげなくてはならない」と訴え続けました。ネルソンさんが「人類の宝」と呼んだ平和憲法を守るのは、私たち日本国民の「不断の努力」です。

