京都の地下に大深度トンネルを通す―JR西日本の北陸新幹線延伸(敦賀―新大阪)をめぐり、自民、維新両党は15日の与党整備委員会で「小浜・京都ルート」桂川案を選定しました。地下水への影響など、古都、京都の環境や文化を壊しかねない計画に固執したものです。巨額の地元負担も生じます。
同ルートは、福井県の敦賀市から南西に進み、同県小浜市を経由。南下して京都市を通って東海道新幹線の南側に渡り、新大阪に至ります。
京都駅の西5キロ地点にあるJR京都線桂川駅に京都市内の駅を新設します。約140キロにわたる延長区間のほとんどがトンネルで、京都市内をはじめとする都市部では地下深くトンネルを通します。
■環境壊し地元負担
京都盆地の豊かな地下水への影響とともに、有害物質を含む大量の排出土の発生など、環境面での懸念は絶えません。建設費も5兆5千億円まで膨れ上がっています。沿線自治体は、JRの貸付料を除いた建設費用の3分の1を負担します。工期は26年間と四半世紀を超えます。
「小浜・京都ルート」は2016年12月に、当時の自民、公明の与党が決定しました。しかし、府民多数の反対を受け、25年7月の参院選では、整備委員会・共同委員長でもある自民党の西田昌司候補(参院議員)が「府民の合意なしに進められることは絶対にない」と表明。維新の候補も「小浜・京都ルート」反対を掲げました。
その結果、ルート見直し、もしくは反対の候補が京都選挙区で圧倒的な票を獲得し、両候補も当選しました。今回の選定は、選挙に示された同ルート反対の民意に対する重大な公約違反です。
25年10月の自維連立政権発足後、維新は「再検討」を行うとして協議をよびかけ、整備委員会で、「小浜・京都ルート」に他のルートも加えた8案について話し合いが進められてきました。
■利便性も見込めず
今年6月、国土交通省が各ルートの費用対効果を公表した結果、「小浜・京都ルート」は、着工条件である1の半分の0・5しかないことが明らかになりました。しかし同省は、北陸新幹線全体(東京―新大阪)では1・1になるというごまかしの数値を提示。その算定基準も明らかにせず、批判を受けています。
「小浜・京都ルート」は、▽桂川案▽京都市中心部を南北に貫き京都駅を通る南北案▽京都駅を東西に通る東西案―の三つがありました。自維与党の協議では、滋賀県米原市で東海道新幹線に乗り入れる案、南北案、桂川案などが俎上(そじょう)にあがりましたが結局、桂川案が選ばれました。
ターミナルの京都駅に出るには乗り換えが必要で、新幹線によって速達性が格段に向上するとは考えられません。南北案に比べ京都中心部から離れるものの、環境に影響を与えない保証はありません。
環境は破壊され、府民・市民は財政的な負担を強いられ、利便性は望めない―。与党・政府とJR西日本は、「千年の愚行」(京都仏教会)といわれる北陸新幹線延伸計画を中止すべきです。

