日本軍「慰安婦」だった韓国の金学順(キム・ハクスン)さんが、名乗り出て被害を訴えたのは、戦後46年たった1991年のことでした。それから今年で35年。被害者の証言や研究者の努力で、旧日本軍による性暴力の実態が明らかにされてきました▼一方で「慰安婦」問題をなかったことにしようとする動きも続きました。なにより日本政府自身が性奴隷としての「慰安婦」の実態を覆い隠そうとしています▼政府は93年に河野洋平官房長官の談話で、慰安所の設置・管理や「慰安婦」の移送に軍が関与したことを認め、「お詫(わ)びと反省」を表明しました。この見解は今も変わっていないはずなのに、いまでは大きな逆行が進んでいます▼2021年には、当時の菅義偉内閣が日本維新の会の議員が出した質問主意書に答える形で、「従軍慰安婦」という言葉は軍によって強制連行されたという誤解を招くから「従軍」の2文字を使うのは適切でないとする閣議決定をしました▼これに従って、文部科学省は教科書の記述も変更させました。河野談話では、「慰安婦」問題を歴史教育を通じて「永く記憶にとどめ、同じ過ちを決して繰り返させない」と述べているにもかかわらず▼まもなく金さんが初めて問題を告発した8月14日がやってきます。この35年間に金さんをはじめ多くの被害者が亡くなりました。侵略と植民地支配の下で女性の尊厳を踏みにじる性暴力があったことへの真摯(しんし)な謝罪と賠償が急がれます。
2026年7月25日

