(写真)衆院憲法審査会で9条改憲を主張する自民党の新藤義孝・同審査会与党筆頭幹事(前列左から2人目)=4月9日、国会内
9条改憲を唱える各党の主張はどのような内容でしょうか。
日本維新の会は、戦力不保持を規定する9条2項は「時代遅れ」で「削除が不可欠」と強調。「国防軍」の明記を訴えています。国民民主党も9条改憲には前向きで、玉木雄一郎代表は「(維新の主張には)非常に納得するところも多い」(6月18日、衆院憲法審査会)と表明。参政党は、部分的な改定ではなく、一から憲法を作り直すべきだと主張し「自衛のための軍隊」を明記した憲法構想案を発表しています。
一方、自民党の9条改憲案は、現行の1項(戦争放棄)と2項(戦力不保持・交戦権の否認)には手を加えず、「9条の2」として新たに自衛隊を明記するという内容。他党に比べれば穏当な案と見る向きもあり、自民党も現状を追認するだけで今と何も変わらないと説明してきました。しかし、何も変わらないのであれば、そもそも改憲する必要はないはずです。
自衛隊は憲法に根拠がなく、常に9条2項違反との批判を受けてきました。これに対し、政府・自民党は一貫して、自衛隊は自衛のための必要最少限度の実力であって、2項が禁じている「戦力」には当たらないと抗弁。集団的自衛権行使や海外派兵の禁止といった自衛隊への制約は、違憲との批判をかわすためにつくられてきました。
自衛隊を憲法に位置づけ、違憲論を封じることができれば、「戦力に当たらない」との解釈をとるために自衛隊に課してきた制約は存在意義がなくなります。自衛隊の活動範囲に歯止めがなくなり、海外での無制限の武力行使に道を開くことになります。9条2項を残したまま、事実上「空文化=死文化」させるのが、自衛隊明記論の狙いです。
そもそも、自民党は、1・2項を維持した上で自衛隊を明記する条文イメージを2018年に提起する前は、2項を削除し「国防軍」を明記する改憲草案(12年)を掲げていました。2項削除案では、平和を願う国民の拒否感が強いことから編み出したのが自衛隊明記案で、両案の狙いに違いはありません。

