民営化によって行政の支出を抑えながら公共インフラを維持する先進事例とされてきた宮城県の水道民営化事業で、水道事業を受託した民間企業が当初の想定を大きく上回る33億円の利益(4年間の合計)を荒稼ぎしていることが同企業の資料から判明しました。他方、県の水道会計は黒字から赤字へ転落しています。本来県民のために使われるべき資金が、民間企業に収奪されています。(佐久間亮、笹島みどり)
移行4年で
宮城県は2022年に全国で初めて上水・工業用水・下水の水道3分野の20年間の運営権を民間企業に一括で売却しました(水質検査、管路の維持・管理は県)。運営権を手にしたのは特別目的会社「みずむすびマネジメントみやぎ」(MMM)。出資者には国内トップクラスの水企業メタウオーター(富士電機が主要株主)や、世界中で水道民営化を進める巨大水企業ヴェオリア(本社パリ)の日本法人などが名を連ねます。
22年度の事業開始時点でのMMMの20年間の利益(税引き前利益)見込みは、水道3分野合計で約83億円でした。実際には事業開始からわずか4年間で利益見込みの4割にあたる約33億円を確保。なかでも稼ぎ頭の上水事業は、20年間の利益見込み約39億円に対し約24億円の利益を上げています。MMMは25年3月に改定した事業計画で、20年間の利益見込みを約92億円へと9億円近く上積みしています。
一方、県の水道会計は、直営最後の21年度に約25億円の黒字だったのに、25年度には約2億円の赤字に転落。21年度と民営化後の4年間を比べると合計約72億円の減益です。民営化以前に県が設置した機械装置類を、MMMが使用料を払わずタダで使う契約になっているからです。そのため県の水道会計には、機械装置類の巨額の減価償却費だけが毎年度費用として計上され、その総額は約401億円に上ります。
日本共産党の藤原益栄県議は、県が民営化で削減できると説明してきた経費337億円を上回る額が減価償却費で消えるとし、「県の節約宣伝は欺瞞(ぎまん)だ」と強調。MMMとの契約を破棄するための違約金は3億円にすぎないとし、こう力説します。
「宮城方式は、老朽化した機械装置類などの更新をしなければしないほどMMMがもうかる、安全軽視が構造的に組み込まれた仕組みになっています。県民は、本来水道料金引き下げなどに使われるはずの利益を民間企業に吸い上げられるうえ、安全まで脅かされています。ただちに公営に戻すべきです」

