皇室典範改定を巡り、憲法の立場から矛盾や問題点を明らかにした日本共産党国会議員団の論戦。その先頭に立った小池晃書記局長が、党綱領との関係で論戦の意義を明らかにしました。
「なぜ女性ではだめなのか?」という問いに、なぜ政府が答えられなかったか
皇室典範改定をめぐる党の論戦に国民の共感が広がっています。なぜ党がそのような役割を果たすことができたのか。そこには党綱領の生命力が発揮されています。
10日の衆議院議院運営委員会で、塩川鉄也国会対策委員長が、「なぜ(天皇は)女性ではだめなのか」と質問した際に、木原稔官房長官が1分近く答弁に立てなかったことが話題になりました。
この根本的な問いかけに、なぜ政府はすぐに答えられなかったのか。
それは塩川議員が、この問いかけの前段として、「日本国憲法第1条は、天皇を日本国民の統合の象徴としており、多様な性を持つ人々によって構成されている日本国民の統合の象徴である天皇を男性に限定する合理的な理由はどこにもない。女性天皇を認めることは、日本国憲法の条項と精神に照らして合理性を持つと考える」と、党綱領の立場で、「憲法の条項と精神」に立って論じた上で、質問したからです。
もしもこうした見地を離れて、この問題を皇室内部での平等にかかわる問題としてとらえて、“男女平等に反するではないか”と質問していたら、政府は“今の皇室は憲法によって世襲で定められている特別の制度だから”と答えたでしょう。さらに、そうした角度で不平等を問題にすれば、「一人の個人が世襲で『国民統合』の象徴となるという現制度は、民主主義および人間の平等の原則と両立するものではない」との党綱領が表明している「認識」との矛盾が問われることにもなったと思います。
現在も、将来も、日本国憲法にのっとってこの制度に対応していく
この問題は、「天皇の制度と日本共産党の立場 志位和夫委員長に聞く」(2019年6月4日)で、全面的に解明されています。志位委員長(当時)は、このインタビューで、2004年に改定された党綱領と日本国憲法の関係について、なぜ綱領から「君主制の廃止」という課題を削除したか、天皇の制度の現在と将来にどのような態度をとるか、国会開会式や「代替わり」の儀式、「賀詞」への対応、元号にどう対応するかなどを縦横に語った上で、女性・女系天皇については、憲法にてらして認めることに賛成することを表明しています。
そこで一貫して強調されているのは、天皇の制度に対しては、現在も、将来も、日本国憲法に厳格にのっとってこの制度に対応していく--これが日本共産党綱領の立場であるということです。現行の皇室典範にかかわる問題についても、党が現行憲法の条項と精神にてらして方針を発展させてきたことが強調されています。
国民のなかでの両性の平等、ジェンダー平等の発展という角度から接近する
この中で志位氏は、女性・女系天皇を認めることに賛成するという党の立場を、「男女平等、ジェンダー平等という見地からどう考えるか」という問いに対して、こう答えています。
「皇室の内部での男女平等という見地からこの問題に接近すると、『もともと世襲という平等原則の枠外にある天皇の制度のなかに、男女平等の原則を持ち込むこと自体がおかしい』という批判も生まれるでしょう。
私は、そういう接近でなく、国民のなかでの両性の平等、ジェンダー平等の発展という角度から接近することが重要ではないかと考えています。『日本国の象徴』『日本国民統合の象徴』の地位にある天皇を男性に限定しているという現状をただすことは、国民のなかでの両性の平等、ジェンダー平等を発展させるうえでも意義ある改革になるのではないかと、考えるものです」
「男系男子」に固執し強化する改定は、日本社会での女性差別を助長すると批判
今回の皇室典範の論戦のなかで、党はそうした立場に立って“今回のような男系男子に固執し強化する改定は、憲法が保障する法のもとでの平等に反するとともに、日本社会での女性差別を助長する”と批判しました。
憲法で「日本国民統合の象徴」と定められている地位に、男性だけがつくことができ、女性はつくことができないという現状を、養子制度まで無理やりつくって固執・強化することは、「女性ではしかるべき地位につくことができない」ことを国政に携わるものが先頭に立って当然視することで、「日本社会での」--すなわち国民のなかでの女性差別を助長することになる。こうした党の批判は、いまなおさまざまな差別のもとに置かれている多くの女性をはじめ、広範な国民のなかで説得力をもって共感を広げたといえるのではないでしょうか。
日本共産党国会議員団が、今回の皇室典範改定にあたって、2004年に改定した党綱領の立場に立ち、憲法の条項と精神にてらして、慎重に、また厳格に吟味し、発言してきたことが大きな力を発揮したことは、この論戦の現場に立っての強い実感であったことを強調したいと思います。

