ふだん仕事として主に農業に従事する基幹的農業従事者が、今年2月時点で初めて100万人を割りました。前年比4・8%減の98万6600人で、2010年と比べ半分以下に減っています。しかも、基幹的従事者の35・3%が75歳以上です。
先月農水省が公表した統計結果です。減少が加速し、このままでは国民の食料供給が危うい実態を浮き彫りにしました。命を支える食料を一体誰が生産するのか、日本社会が深刻に問われる事態です。
農水省は、減ったのは個人経営で法人経営体は増えている、離農者の農地を引き受ける大規模経営を育てれば農業生産は維持できる、かのように言います。今後20年で基幹的農業従事者が30万人に減ることを見込んでおり、農業の効率化、大規模化の路線をいっそう推進しています。
■大規模路線の限界
今国会で成立した改定食糧法と一体に来年から実施する新たな水田政策でも、政府の支援対象を生産性の高い大規模な農業者に絞り込もうとしているのはその表れです。
しかしこの間、条件の恵まれた一部地域では大規模経営が生まれましたが、大量に発生する離農者の農地を引き受けきれず耕作放棄が広がっているのが現実です。東京大学の研究者の分析でも、大規模経営の農地の受け入れ余力が近年急速に低下し、規模拡大に限界感が広がっていることが明確にされています。
農業者の大量離農は、地域の共同で営まれてきた用水路の整備や集落の維持を困難にし、大規模経営の存続さえ脅かしつつあります。政府が固執する大規模化路線の延長線上では地域農業の衰退、農村の荒廃は避けられません。
今日の事態の根本には、食料は安い外国から買えばいいとして、国内農業を切り捨て大多数の農業経営を成り立たなくしてきた歴代自民党政府の農政があると言わなければなりません。長期にわたる農業つぶしの政治の矛盾があらわになった結果です。
■社会の存続かかわる
農業者急減という危機的事態の打開には、国政での農業の位置づけや農政を根本から転換する以外にありません。
農業を国の基幹産業に位置づけ、価格保障や所得補償の抜本的充実で大多数の農業者が安心して営農でき農村で暮らせる条件を国の責任で整えることです。それと結びついて大小多様な担い手の維持・増加を日本社会の存続にかかわる課題に据え、国政全体で総力を挙げることです。
近年、農業・農村の価値に引かれて移住し、就農する若者や、農作業や地域づくりにかかわる都市住民が増えています。都市住民を含めて、農業や農村の新たな担い手の確保・育成に集中的な力を注ぐことも今日的課題です。
すでに各地の自治体などでは、農業への新規参入に必要な農地や資金、技術、住宅、販路の確保などに一定の支援を行っています。国レベルで抜本的な支援を強め、教育機関や企業、関係団体を含めた取り組みが求められます。
日本共産党はそうした総合的取り組みを国家プロジェクトとして推進することを提案しています。

