東日本大震災・東京電力福島第1原発事故などで東京都の都営住宅などに避難し、さまざまな事情でそのまま住んでいた15世帯が、都から使用料を最高1200万円請求され、途方にくれています。福島県の居住制限区域から避難した50代女性は数百万円請求されました。(染矢ゆう子)
(写真)会見で経緯を話す女性=6月26日、東京都庁
2011年の震災当時、女性の夫は都内で単身赴任していました。都が東日本大震災等による避難者に応急避難住宅として都営住宅を無償提供していることを知った女性は両親と子ども2人の2世帯でペットと共に避難しました。
17年3月末に女性の地元の避難指示が解除になりました。都は20年3月末に女性の避難住宅の無償提供を打ち切りました。
被災者の多くは都営住宅に残ることができました。しかし単身赴任中で別居を余儀なくされていた夫が都民だったため、女性と子どもは被災者とみなされず、転居が必要になりました。
帰還を考え、取り壊さずにいた福島県内の自宅は18年に空き巣被害にあっていたことが判明。自宅前の放射線量は高く、帰還を断念しました。
都内で家探しを始めると、女性の父のがんが見つかり、母の病気や夫の腎臓手術がありました。
無償提供が打ち切りになる直前の20年1月、女性は免疫不全で全身が動かず、話もできなくなり、1カ月半緊急入院しました。翌2月には夫が脳出血で入院。同年10月、中学生だった娘に腫瘍が見つかり、21年に摘出手術をしました。
ようやく新居を見つけ、22年9月末、都営住宅を退去しました。期限内に退去できなかった理由は書類にして都に提出しました。
都が2年半分の使用料相当額を請求してきたのは3年後の25年11月でした。今年6月、具体的な請求額が届きました。女性は「2人の子どもは大学生です。大学をやめなくてはいけないのかと不安な日々が続いている」と話します。
都から請求が届いた15世帯でつくる東日本大震災避難住宅不当請求対策会議によると都は最高で1200万円を請求しています。同会議は都に対し6月26日、抗議文を提出。都は「公平性のため、請求を続けざるを得ない」としています。
災害救助法にもとづく国の指針は、応急仮設住宅は仮の住まいであり、地方自治体が被災者の恒久住宅への移転を推進・支援するよう求めています。同会議事務局長の大崎慎一さんは、「東京都で被災者が低廉な転居先を見つけることは難しく、都の避難者対応は不十分だ」として、請求をやめるよう求めています。

