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2026年7月17日

皇室典範改定案

小池書記局長の反対討論
参院特別委

 日本共産党の小池晃書記局長が16日の参院皇室典範特別委員会で行った、皇室典範改定案に対する反対討論は次の通りです。


 天皇の制度の議論は、憲法の条項と精神に基づいて行い、国民の合意と納得を得て進めていくべきものです。女性天皇、女系天皇を認めるべきという圧倒的な世論を無視して、3時間余りの質疑(参院)で採決することは許されません。

 そもそも、日本国憲法第1条では、天皇の地位は「主権の存する国民の総意に基く」とされています。15日の質疑で木原稔官房長官は、国民の理解はいまだ得られていないことを事実上認めました。国民の総意に反するやり方は、将来に大きな禍根を残すものです。

 反対理由の第一は、男系男子の皇位継承に固執し、さらに強化することが、日本社会における女性差別を助長するからです。

 官房長官は、本法案は日本社会における女性差別を助長することになるのではないかとの私の質問に、「女性差別とは関係ない」とごまかしました。しかし、女性というだけで「国民統合の象徴」の地位につけないとなれば、社会における女性差別を助長することになるのは明らかです。

 政府は「男系男子での継承が、わが国の歴史と伝統」と繰り返しますが、この「歴史と伝統」は明治時代につくられたものです。1889年に制定された大日本帝国憲法は「万世一系ノ天皇之ヲ統治ス」「天皇ハ神聖ニシテ侵スベカラズ」として天皇主権を確立し、同時に旧皇室典範に「男系男子」継承を明文化したものです。

 この間の議論で自民党が強調する「皇位の男系継承は2600年以上にわたる皇統の伝統」「今年は皇紀2686年」などというのは歴史の事実ではありません。明治時代に天皇を現人神(あらひとがみ)と描き出すためにつくられた皇国神話そのものです。いまだにこうした歴史観に立って「男系男子継承」にしがみついていることは驚くべきことです。

 戦後、日本国憲法は国民主権を確立し、皇国史観に基づく天皇主権を明確に否定しました。天皇は主権の存する国民の総意に基づく象徴とされ、憲法第2条は、皇位を「世襲のもの」とし、戦前の「皇男子孫」による継承は削除されました。

 この日本国憲法のもとで、多様な性をもつ人々によって構成されている日本国民の統合の「象徴」である天皇を、男性に限定する合理的理由はどこにもありません。天皇の制度は憲法の条項と精神に基づき、主権者・国民の総意のもとにおくことが、何よりも大切だと強調するものです。

 反対理由の第二は、皇族の養子縁組を禁止する現行の皇室典範の規定を覆し、「旧11宮家」の男系男子を将来にわたって皇族の養子候補とし、養子の子の男子に皇位継承権を与えることにしたからです。

 「旧11宮家」と、今の天皇との共通の祖先は約600年前の室町時代までさかのぼります。今の天皇と36~38親等もの隔たりがある、ほとんど赤の他人に等しいとも言われるはるか遠い血筋からの養子までもちだして、女性・女系天皇の道を閉ざし、「男系男子継承」に固執する政府の姿勢は、時代錯誤の男尊女卑そのものです。

 養子は皇室の伝統になかったものです。旧11宮家は、80年前、現典範11条1項の規定に基づき、自らの意思で皇籍を離れた人々であり、その子孫は一般国民として生まれ育ってきた人たちです。旧宮家だからといって、特別な身分である皇族とすることは、憲法14条1項が禁止する「門地による差別」にも抵触します。将来にわたって皇族の養子候補に位置づけられた、旧宮家の男系男子の子孫とその家族を「準皇族」ともいうべき特殊な身分に置くものであり、これらの人々の人権を不当に制約することにつながりかねません。

 さらに実際の養子縁組において、政治家などが縁組に関与し、天皇の制度の政治利用を引き起こすことが危惧されることを指摘しておきます。

 反対理由の第三は、女性皇族とその子が天皇になる道を閉ざしながら、「皇族数の確保」のために皇室行事を担う要員たれと、結婚後も皇室に残ることを原則としているからです。

 婚姻後の女性皇族に、住民基本台帳を適用しながら、国民としての権利を認めないというのは矛盾も甚だしいものです。女性皇族を都合良く扱おうというものにほかなりません。

 しかも、配偶者や子に皇族の身分を与えないことは、徹底して女系天皇の芽を摘もうという意図をあからさまに示すものです。

 15日の質疑で官房長官は、女性皇族の配偶者や子は皇族にならないという本案は、家族との一体性との間で整合性がないのではとの問いに、日本人と外国人の夫婦を例に挙げて「そういう夫婦において、国籍や参政権、戸籍の有無等によって違いが生じるが、家族の一体性ということでは、不整合は生じていない」と答えました。この答弁は、選択的夫婦別姓を否定する際の「家族の一体性が失われる」という論拠を政府自身が否定したものであることも指摘しておきます。

 反対理由の第四は、政府は今回の法案は「立法府の総意」に基づくといいますが、質疑でも反対意見が相次ぐなど、「立法府の総意」なるものが完全に崩壊しているからです。

 政府は、皇位継承の問題とは切り離した皇族数の確保策を議論するといいながら、法案提出の段階で、養子の子の男子が皇位継承資格を持つとする規定を突然盛りこみました。国会と国民を愚弄(ぐろう)するものであり、断じて許されません。

 政府は「立法府の将来の検討を縛らない」などといいますが、女性天皇への道を完全にふさぎ、男系男子のみによる皇位継承を固定化しようというのですから、将来のあり方まで縛ってしまうものにほかなりません。

 本法案は、日本国憲法の精神と条項に反し、「主権の存する国民の総意」に基くべき天皇の制度を根本から変質させることにつながるものです。断固反対し、廃案を強く求めます。