(写真)皇室典範改定案を賛成多数で可決した参院皇室典範特別委員会=16日
皇室典範改定案を巡る衆参両院の論戦を通じて明らかになったのは、男系男子による皇位継承を「不動の原則」とする法案の根本的な破綻です。女性・女系天皇の道を閉ざす一方で、遠い血筋の人物を養子に迎え、その子が男子であれば皇位継承権を持たせる―。この道理なき矛盾を突き、厳しく追及する日本共産党の論戦が光っています。
論戦の焦点となったのは、女性・女系天皇を正面から認めるべきだという問題です。改定案は、旧宮家の男系男子を養子として皇室に迎え、その子が男子であれば皇位継承権を認めます。女性・女系の継承は認めていません。
「なぜ女性ではだめなのか。なぜ男系男子にこだわるのか」。10日の衆院議院運営委員会では、日本共産党の塩川鉄也議員が、多様な性を持つ人々で構成される国民の「統合の象徴」である天皇を男性に限定する合理的理由はどこにもないと迫りました。
塩川氏の質問はきわめてシンプルです。ところが、木原稔官房長官はすぐに答弁に立てず、質疑が1分近く停止。事務方の補助を受けてようやく「男系継承が古来例外なく維持されてきた重みを踏まえ」などとはぐらかしました。
15日の参院皇室典範特別委員会では、日本共産党の小池晃書記局長が「日本国憲法の条項と精神に照らせば、女性・女系天皇は当然認められるべきだ」と追及。男系男子継承に固執・強化する改定案は「日本における女性差別を助長させるものだ」と批判しました。木原氏は正面から答えられず、「法案は女性差別とは関係ない」などと弁明。論戦で完全に追い詰められています。
男系男子に固執する政府の姿勢は、かつての家制度のもとで男児出産を強いられ、多くの女性が苦しめられてきた日本社会の姿と重なります。女性であることを理由にしかるべき地位への道を閉ざすことは「男尊女卑」そのものです。
ほとんど赤の他人
もう一つの焦点は、養子の対象となる旧11宮家と今の天皇との関係です。
衆院の審議では宮内庁が旧11宮家の皇族男子と今の天皇には「36親等から38親等の隔たりがある」と答弁しました。これを受け、参院では小池氏が「6親等離れれば民法上親族ではない。38親等となれば、ほとんど赤の他人だ」と批判。「国民的な支持は得られない」と迫りました。
木原氏は「(国民の理解は)徐々に形成されていくと期待する」と、国民の理解を現在得られていないことを認めました。
さらに、男系男子が「伝統」であるとの言い分も破綻しています。自民党の小林鷹之政調会長は「2600年以上にわたって」守ってきた伝統だとして皇位の男系継承を正当化していますが、2600年以上前は、歴史学上の時代区分では、縄文時代の最後の時期です。科学的には、文書記録などはなく、「王権」などあるはずもありません。
小池氏は、男系男子の皇位の継承は明治時代に大日本帝国憲法のもとでつくられたものであり、「2600年」の伝統は「神話だ。歴史的事実ではない」と指摘。政府の暴論を浮き彫りにしました。
「共産党がまとも」
「共産党がまとも。自民党は皇室を軽んじている。失礼だ」―。国会論戦を見た有権者の反応です。多くの国民の疑問に答えることなく、日程ありきで採決に突き進む与党の横暴に唯一、真正面から対決している日本共産党への注目が集まっています。
一方、中道改革連合をはじめ、国民民主党、参政党などの野党は十分な審議を与党に迫ることもなく、改定案に賛成。巨大与党を前に腰砕けの姿がはっきりしました。
メディアも「国民を愚弄(ぐろう)するやり方だ」と改定案の問題点を追及した塩川氏の論戦に注目。「読売」は社説で、「一部の党が『国民を愚弄するやり方だ』と批判した以外、野党から養子制度の問題点への追及がなかったことは疑問だ」(11日付)と、塩川氏の追及を引用する形で他党の論戦の低調ぶりを批判。時事通信も「皇位継承、『なぜ女性では駄目なのか』」(15日配信)として、塩川氏の国会質問を詳しく紹介しています。
一方、参院では、野党第1党の立憲民主党が改定案に反対したことで、政府が建前とする「立法府の総意」と乖離(かいり)していることも浮き彫りになりました。日本共産党が衆参の論戦で果たした役割が光っています。

