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2026年7月17日

主張

国旗損壊処罰法案
審議が浮き彫りにした違憲性

 会期末を迎え、自民党などは、国旗損壊処罰法案をまともな審議もないまま、強行成立させようとしています。

 国会提出前から、憲法の保障する「思想及び良心の自由」「表現の自由」などを侵すと強い批判がありましたが、国会審議で重大な問題がいっそう明らかになりました。各界で危惧と反対の声が急速に広がっています。悪法の強行を許してはなりません。

■「愛国心醸成」明言

 そもそも同法案には立法事実(法律を必要とする根拠)がないことを法案の提出者自身が認めました。同法案は、自分の所有する国旗を損壊することも罰します。しかし答弁者の誰も、これまでに起きたそうした事例をあげることができませんでした。

 思想の自由を侵す危険があらためて明らかになりました。日本維新の会の答弁者は「成立を契機に愛国心も醸成されていく」と明言、“愛国心など内心の問題は対象外”としていた説明をくつがえし、思想に踏み込むことをあけすけに述べました。

 同法案は、どんな行為が処罰の対象になるかを明確にするという憲法の原則―罪刑法定主義に反していることも浮き彫りになりました。審議では、個別事例を問われ、罪に当たるかどうか答弁できず、「行為の外形、周囲の状況その他の客観的な事情を総合的に勘案」するとの弁明が繰り返されました。

 あまりにも危険で粗雑です。阪田雅裕元内閣法制局長官は「立法目的や前提の事実、基本的人権との関係、構成要件の客観性など、あらゆる論点で説明を尽くす必要があるが、国会答弁はそうなっていません」(「朝日」7日付)と法律の体をなしていないと厳しく批判しています。

 参院内閣委に参考人として出席した憲法学者は「近代国家のイロハのイとも言える罪刑法定主義を全く満たしていない」(橋本基弘中央大教授)、「政治的言論に対する規制法規であり、憲法に違反する」(木下昌彦神戸大大学院教授)と批判。衆院でも志田陽子武蔵野美術大教授が「憲法訴訟になれば違憲と判断される可能性が非常に高い」と警告したほどです。

■反対表明が相次ぐ

 審議を受けて反対の声が急速に広がっています。

 日本弁護士連合会は衆院委の可決を受け、会長声明を発表。憲法の保障する「内心の自由」「表現の自由」「罪刑法定主義」に反し、「政治的な抗議活動や表現活動に対する萎縮効果をもたらす」として反対を表明しました。

 刑事法研究者148人が名を連ねる声明「『国旗損壊罪』は制定してはならない」をはじめ、歴史学協会、日本キリスト教協議会、美術評論家連盟有志、美術家有志など次々に反対表明しています。

 各紙社説も成立させるべきでないと訴えています。「立法の必要性がないばかりか、人々を萎縮させる懸念があることが改めて浮き彫りになった」(「毎日」2日付)、「審議を進めるにつれ、明らかになるのは問題点と疑問点ばかりだ。参院で廃案にすべきだ」(「西日本新聞」8日付)

 将来に禍根を残す違憲の悪法は廃案にすべきです。