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2026年7月16日

主張

男系男子の強化
女性差別助長の法案は撤回を

 高市早苗政権は、今国会で皇室典範改定案を強行に成立させる構えです。国民的議論が必要な法案にもかかわらず、委員会質疑は衆参あわせ6時間余りにとどまります。国民の理解は得られておらず採決強行は許されません。

 憲法は、天皇は日本国民統合の象徴であり、天皇の地位は主権の存する国民の総意に基づくとしています。多様な性を持つ国民の象徴を男性に限る合理的理由はなく、国民の多くが女性・女系天皇を認めています。憲法に照らせば当然、女性・女系天皇が認められるべきです。

 ところが改定案は、高市首相の持論を強く反映し、現在の典範以上に男系男子による皇位継承を強化します。日本社会に残る女性差別を助長するもので重大です。

■“二級皇族”の扱い

 皇室典範は、皇族が養子をとることを禁じています。2005年の政府有識者会議の報告書も、養子縁組は国民の理解と支持の点などから問題があり、採用は「極めて困難」としていました。改定案はそれらを覆し、現在の天皇家から遠い、親戚とも言い難い旧宮家の男系男子を養子にするとします。

 皇室典範は一般人が皇族になるのは男性皇族と結婚した女性だけと規定しています。

 改定案は一般人の男性を養子として皇族にします。一般女性と結婚すれば、その女性や子も皇族となり、男の子なら皇位継承資格を持ちます。

 それに対し、女性皇族の場合、改定案で結婚後も皇族としますが、夫や子どもについて皇族になる規定を設けず一般人の身分とします。

 男性皇族と異なる差別的扱いです。さらに、結婚した女性皇族は新たに一般市民のように自治体の住民基本台帳に登録されます。まるで“二級皇族”かのような扱いです。

 女性皇族には姓がなく、夫と子どもは姓を持つことにもなります。それを、家族で姓が違うと一体感が失われるとして選択的夫婦別姓に反対する勢力が推進するのは、別姓反対論のでたらめさを示しています。

■男尊女卑と家制度

 国民の総意に反し、なぜ男系男子に固執するのか。背景にあるのは家父長制と男尊女卑の考え方です。

 皇位継承を男系男子と定めたのは、神話に基づく「万世一系」の天皇が主権者だった明治の皇室典範です。

 当時、女性天皇容認論もある中で、否定する有力な論だったのは、日本では女性より男性が尊く、女性天皇が結婚すれば夫が「尊位」を占め天皇の尊厳を損ない、日本古来の夫婦観念にもなじまない、女性皇族の子が夫の姓を継いで天皇になれば、皇統が他に移り「万世一系」でなくなる、というものだったとされます。

 高市政権が狙う改定案の底流にはこうした考え方があります。男系男子への固執は、家制度の下で男の子を産むことを強制し、女性を苦しめた日本社会のこれまでの姿と重なります。家父長制的な意識を残存させ、女性差別を助長します。ジェンダー平等を求める国民の声に反します。

 国民主権の憲法となった下で、国民の総意に基づかない法案は撤回すべきです。