(写真)パリ政治学院のペレイラ教授(左)と志位氏=14日、党本部
日本共産党の志位和夫議長は14日、党本部で、パリ政治学院のルイス・アワズ・ペレイラ教授(マクロ経済学博士)と2時間以上にわたり会談しました。同氏は国際決済銀行(BIS)元副総支配人、ブラジル中央銀行の元副総裁です。話題は、マルクスの理論から欧米の左翼の動向、「自由に処分できる時間」の意義から人工知能(AI)が人間の自由にもたらす影響と対策、中南米の政治動向からグローバルサウスをめぐる国際政治まで、多岐にわたりました。
保守の人にも
両氏は、マルクスが描いた「必然の国」と「自由の国」という未来社会論のテーマを掘り下げ、志位氏の英訳著書『自由に処分できる時間と「資本論」』について意見交換。ペレイラ氏は「たいへん興味深く読んだ。進歩的な人々のみならず、幅広い人々にとって重要な提起だと思う」と述べ、「とくに『自由に処分できる時間』論は、少しでも社会の前進を願う保守の人を含めてコンセンサスが生まれうるスペースの広いテーマを開拓されたと思う」と指摘しました。
志位氏は、物質的生産の充実とともに、人間が真の自由を享受できる十分な時間の確保こそが、共産主義社会の特質・目的である点を詳細に説明。ペレイラ氏は「新しい視野を得る可能性という点で重視したい。生産の質、生活の質、そして自由な時間という重要なテーマで、世界の左翼の再活性化のためにも対話にとりくんでほしい」と述べました。
AIのリスク
また、両氏は、AIと技術革新がもたらすリスク、とくに人間の自由についての影響についても議論しました。志位氏は、マルクスの『資本論』をひいて、テクノロジーが人間を解放する可能性と害悪をもたらす危険性の両側面があることを指摘。資本がAIを利用することによって生まれる危険と、人類がAIを制御できなくなるという危険という二つの質的に異なる危険があると述べ、社会によるAIの民主的コントールに向けた国際合意をうることが急務だと提起しました。
ペレイラ氏は、そのとおりだと応じたうえで、AI覇権をめざす国際政治状況や大資本が野放しにされる右派政治の台頭のなかで、大企業による技術独占を防ぎ、民主的なコントロールを確立することは重要だと応じました。
さらに、ペレイラ氏は、現代の労働者は、複数の仕事を掛け持ちし、インターネット通販アマゾンの配達員から低賃金のサービス業従事者、そして多くの働く女性など、あらゆる分野で自由な時間が奪われている状況のなかで、「自由に処分できる時間」の概念が日常生活に深くかかわる実践的意義をもっていると強調しました。
志位氏は、そうした労働の問題とともに、気候危機、ジェンダー、AIなど技術革新といった現代が直面する諸課題に対して、「自由な時間」は統合的な答えを提供するキーコンセプトになっていると応じ、世界の左翼勢力が協力し、現状に危機感を抱く進歩的な人々との共同をひろげ、改革をすすめることが重要だと述べました。
両者は、引き続き意見交換をすることで一致しました。会談には、緒方靖夫副委員長、小林俊哉国際委員会事務局次長が参加しました。

