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2026年7月12日

主張

クロマグロ漁獲枠
大型優遇やめ沿岸漁民を守れ

 かかったマグロを苦労して海に放す―沿岸漁業者がいま直面している事態です。規定の漁獲枠を超えるためです。

 資源管理のために太平洋西側でのクロマグロの各国の漁獲枠を話し合う国際会議、中西部太平洋まぐろ類委員会(WCPFC)北小委員会の会合が8日から始まりました。

 米国などが資源回復は不十分だとする一方、日本政府は資源量が回復しているとして、30キロ以上の大型魚の枠を増やし、引き換えに30キロ未満の小型魚の漁獲枠を減らすことを提案しています。

 全国では多くの沿岸漁民が小型魚に依存して生活しています。日本政府の提案は、またも沿岸漁民を犠牲にし、大型魚を大量漁獲できる大規模漁業を優遇するものです。

■資源枯渇の要因は

 クロマグロは「本まぐろ」とも呼ばれ、すしなどの高級食材になるほか、0~1歳の小型魚は養殖用の種苗として利用されています。

 太平洋のクロマグロの資源量(産卵親魚量)はピーク時の1961年には約16万トンありましたが、2000年代半ばごろから大きく減少。10年には史上最低の1万トンほどまで低下し、14年には絶滅危惧種の2類に指定されました。WCPFCでの国際合意に基づき、18年から罰則付きの強制的な漁獲規制が行われることになりました。

 資源が枯渇した要因は、大中型まき網船などの大規模漁業が、小型魚や卵を抱えた産卵魚の大量漁獲を続けたことです。わずか四十数隻の大中型まき網船が、約2万4千隻に及ぶひき縄・はえ縄・釣りなどの零細な沿岸漁業全体の何倍もの水揚げを行っていました。全国沿岸漁民連絡協議会をはじめ多くの沿岸漁民は、「せめて産卵魚の漁獲中止を」と何度も要求してきましたが、政府は聞く耳を持ちませんでした。

 それどころか、18年から行われた漁獲規制は、▽小型魚=まき網1500トン、沿岸1529トン▽大型魚=まき網3063トン、沿岸1125トンと、逆に大規模漁業を優遇する枠配分としたのです。

■数本取れば終わり

 このような配分では、2万隻を超える沿岸漁民1隻あたりの漁獲枠はわずかになってしまいます。日本近海で資源が回復してきた今でも、沿岸漁民は「数本取ったら今季は終わり」という状況が続いています。

 WCPFCや国連食糧農業機関のルールには小規模沿岸漁業の保護が定められていますが、政府は守る気がありません。一方、大中まき網漁業は、小型魚の漁獲枠を減らす代わりに増えた大型魚の枠で大量漁獲を続けています。

 今回の日本の提案は、長崎や千葉など、小型魚に依存する全国の沿岸漁業を犠牲にして、大型魚に軸足を置く大規模漁業をさらに優遇しようとするものです。

 大西洋でクロマグロの漁獲規制が行われた際には、沿岸漁民を守るため大規模漁業はほぼ禁漁となりました。ノルウェーのタラ漁では漁獲圧の強いトロール船から優先的に規制する方法が行われています。小型魚の削減提案は撤回し、欧州同様に沿岸漁民を守る漁獲枠に改めるべきです。