日本共産党の塩川鉄也議員が10日の衆院議院運営委員会で行った、皇室典範改定案に対する発言は次の通りです。
皇室典範改定案に反対の発言を行います。
第一に、天皇の制度の問題は、憲法の条項と精神に基づいて、広く国民的な議論をすべき問題であるにもかかわらず、本日わずか3時間の質疑で採決を強行しようとしていることに強く抗議するものです。
日本国憲法第1条は、天皇の地位は「主権の存する国民の総意に基く」としていますが、高市政権が提出した皇室典範改定案は「国民の総意」を得ているとは到底いえません。
どの世論調査でも女性天皇を認めるべきという意見が多数です。にもかかわらず、法案が男系男子による皇位継承を不動の原則とし、旧宮家の一般国民である男子を皇族の養子に迎える案を進めようとしていることに、国民は疑問の声をあげています。
朝日新聞の社説は「立法府の総意でも国民の総意でもない、わきおこる異論や批判を顧みない姿は、極めて異常である」とし、読売新聞の社説は「数を頼んで一気呵成(かせい)に成立を図るといった乱暴な行為は許されない」と反対をかかげ、毎日、日経の全国紙や多くの地方紙、歴史学、憲法などの専門家からも批判の声が噴出しています。
国民の反対、懸念の声を無視して、「国民の総意」に背くものといわねばなりません。
第二に、日本国憲法のもとで、多様な性をもつ人々によって構成されている日本国民の統合の「象徴」である天皇を、男性に限定する合理的理由はどこにもありません。女性天皇を認めることは、日本国憲法の条項と精神にてらして合理性をもつものです。
政府や自民党は「わが国の歴史と伝統」を強調しますが、戦前の大日本帝国憲法の「万世一系ノ天皇之ヲ統治ス」「天皇ハ神聖ニシテ侵スベカラズ」という天皇主権は否定され根本的に転換しています。日本国憲法第2条は、皇位を世襲のものとしていますが、戦前の「皇男子孫」継承は削除され、戦前とは大きく変わっています。
にもかかわらず、男系男子による皇位継承を不動の原則として固執する政府の姿勢は、かつての「家制度」のもとで、男の子を産むことを強制し、多くの女性たちを苦しめてきた日本社会の姿と重なるものです。現在の日本社会における女性差別を助長するものといわねばなりません。
第三に、政府は今回の法案は立法府の総意にもとづくといますが、全体会議に参加した衆参13会派のうち5会派が反対しており、「立法府の総意」ではありません。
しかも、政府は、皇位継承の問題とは切り離した皇族数の確保策といいながら、養子の子の男子が皇位継承資格を持つとする規定を盛りこみました。国会と国民を愚弄(ぐろう)するやり方であり、断じて許されません。
法案の「旧宮家」の男系男子を皇族の養子に迎える案は矛盾に満ちています。
対象とする旧宮家は80年前、現典範にもとづき自らの意思で皇籍を離れた人々であり、皇族の養子を禁止する現行の皇室典範の規定を覆してまで養子とすることは大きな矛盾です。旧宮家だからといって、一般国民として生まれ育ってきた人々を特別な身分である皇族にすることは、憲法14条1項が否定した「門地による差別」に抵触します。旧宮家の男系男子の子孫を将来にわたって養子候補とし、準皇族ともいうべき新たな特別身分をつくるもので憲法に反します。
しかも、旧宮家と今の天皇との共通の祖先は約600年前の室町時代までさかのぼります。はるか遠い血筋の男系男子の養子の男子には天皇になる資格を与える一方で、今の天皇の子である女性皇族やその子は天皇になる資格を与えないものです。
こうした養子縁組案は2005年の政府有識者会議の報告書で、「国民の理解と支持、安定性、伝統のいずれの視点から見ても問題点があり、採用することは極めて困難である」と否定されています。
さらに、法案は、女性皇族が結婚後も皇室から離れられないことを原則としています。女性皇族は天皇になる資格がないのに、皇室の行事を担うのに必要な皇族数を確保するためだけに皇族として拘束される、まさに「2級皇族」のような扱いをするものといわねばなりません。
今回の法案の本質は、女性天皇・女系天皇の道を閉ざそうというものであり、到底容認できません。
日本共産党は、本案を撤回し、あらためて有識者、憲法学者などの参考人の意見を聴取し、国民の声を聞く公聴会、広く国民的な議論を行い、「国民の総意」を形成する努力をすることこそ国会の責務であることを強調し、反対の発言をおわります。

