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2026年7月9日

主張

皇室典範改定案
「総意」に反し男系男子に固執

 高市早苗政権が国会に提出した皇室典範改定案は、女性・女系天皇の道を閉ざし、男系男子による皇位継承を明確にしました。国民の総意とかけ離れており国民的な理解を得られません。撤回し、議論し直すべきです。

 国会の全党・会派で議論し、衆参の正副議長がとりまとめた「立法府の総意」は、皇族数の確保に関するものとされ、意見の分かれる皇位継承にかかわる点には触れていませんでした。ところが高市政権は、皇位継承の規定を勝手に滑り込ませました。

 改定案は、▽養子に迎えた旧宮家の男系男子の子孫が男子なら皇位継承資格を持つ▽結婚した女性皇族は皇族の身分のままとするが、新たに住民基本台帳に登録。夫や子どもは一般人のまま―としました。女性天皇・女系天皇を排し、皇位継承を男系男子に限るものです。

■国会軽視のやり方

 正副議長のとりまとめには13会派のうち7会派しか賛成しておらず、もともと「立法府の総意」とは言えないものでした。改定案はそれすらも逸脱し、全党・会派による議論をまったく軽視しています。

 憲法第1条は、天皇の地位は「主権の存する日本国民の総意に基く」と規定しています。明治憲法が、「万世一系」という考えに立って皇男子孫(男系男子)による皇位継承を定めていたのに対し、現憲法ではその規定は削除されました。

 現在、皇室典範により、皇位は「皇統に属する男系の男子」が継承するとされていますが、皇室典範は一般の法律同様、国会で変えられるものです。憲法の条項と精神に基づき、国民の総意に立って変えることが必要です。女性・女系天皇に賛成する人が多数のなか、男系男子に限るべきではありません。

 しかし、改定案は男系男子に固執し、そのために多くの問題を抱えます。

 長く一般人だった養子の子孫を皇族とすることに国民の理解が得られるかは、各紙の社説でも疑問が呈されています。旧宮家の男系男子の子孫を将来にわたり養子候補とすることは、準皇族ともいえる新たな特別の身分をつくるもので憲法に反します。憲法が禁ずる「門地による差別」にも抵触します。

 男性皇族と差をつけ女性皇族を住民基本台帳に記載するのは、女系天皇をつくらないために夫と子どもを皇族としないことによります。女性皇族は一般市民のように自治体に住民登録されるのに、選挙権などの権利を持てません。

 一方、夫や子どもは政治活動などが可能だという問題を抱えます。妻には姓がなく、夫と子どもは姓を持つことにもなります。

■「数の力」で通すな

 6日の参院決算委員会で、日本共産党の小池晃書記局長の質問に、高市首相は、養子の子孫を皇族という特別な身分にすることに国民の理解は得られていないと認めました。にもかかわらず、改定案を「数の力」で強引に押し通すことは許されません。

 憲法第1条の精神に反し国民の総意を軽んじるやり方は禍根を残すことになるでしょう。