「空白の8・9キロ」といわれてきました。山梨県から長野県にまたがる南アルプストンネル。リニア新幹線の静岡工区です▼「何のメリットもないリニアなど静岡県にはいらない」。大井川の水資源や南アルプスの自然環境への影響を理由に着工反対の姿勢を示してきた前の静岡県知事。無謀な工事の中止を要求する住民運動や世論が背景にありました▼しかし現知事は当選時から推進の立場を表明。きのう、住民の理解は進んだとして着工容認を表明しました。大量の湧水による水枯れやぼう大な残土処理をはじめ問題山積の工事と自然環境の保全など両立できるはずもないのに▼国策の民営事業としてJR東海がリニアの工事を始めたのは2014年。当初は来年を予定していた開業も、いまや見通しがたたない状況に。品川―名古屋間の全長286キロはほとんどがトンネルで地下深く掘る難工事の連続。資材や人件費の高騰で工事費も着工時の倍増となる11兆円にふくらんでいます▼伴う問題は各地で。沿線住民が生活権の侵害を訴える裁判も起きています。すでに計画自体が死に体に近づいていると指摘する専門家も▼安全や環境への評価も不確かなまま、大企業の利益追求や大都市圏集中という自民党政治によって強行された大型プロジェクト。やみくもな計画のツケはすべて国民に押しつけようというのか。関係自治体の長が認めたからといって天下の愚策を許すわけにはいきません。
2026年7月8日

