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2026年7月6日

主張

異動ルールの緩和
原子力規制の独立をくずすな

 原子力規制行政は、経済産業省などの推進行政や業界におもねらず独立して職務を遂行することが求められます。そのために、原子力規制委員会の事務局である原子力規制庁の職員は、原発業界への再就職禁止だけでなく、推進省庁への異動も禁じられています(ノーリターン・ルール)。

 東京電力福島第1原発事故の反省を踏まえて規制の独立性を確保するために、原子力規制委員会設置法の付則に明記されたルールです。

 ところが自民党は、国際的な原発推進機関である国際原子力機関(IAEA)が、職員の流動性を改善するよう勧告したとして、ノーリターン・ルールを緩和すべきだと高市早苗首相に提言しました(6月8日)。人材流動化は原発業界が求めてきたものです。政府も法改正の検討に入ったと報じられています(「朝日」同14日付)。

 自民党の提言は、「安全規制の執行は、運転を止めるものとなってはならず」としています。原発最大限活用を推し進める危険な動きです。

■全職員適用が必要

 福島原発事故当時、原子力規制を担っていた原子力安全・保安院は、原発推進の経産省の組織でした。国会が設置した事故調査委員会は、規制する側とされる側の立場が逆転し、「規制当局は電力事業者の『虜(とりこ)』となっていた」と指摘し、推進省庁、事業者、政治から独立した新たな規制組織の確立を求めました。

 原子力規制委員会設置法案が審議された国会(2012年)では、ノーリターン・ルール等の対象を幹部職員に限定する政府案に対し、日本共産党や当時野党だった自民党、公明党などが、全職員を対象にすべきだと強く主張しました。その結果、政権与党の民主党も受け入れて、全職員が対象となりました。

■過ちを繰り返すな

 6月17日の参院資源エネルギー・持続可能社会に関する調査会で、日本共産党の岩渕友議員が「規制の独立性が担保できなくなる」とただしたのに対し、原子力規制委の山中伸介委員長は「ノーリターン・ルールの変更は原子力規制委員会の独立性への懸念を生じさせるもので、IAEAから勧告された事柄ではあるが、慎重に検討を進める必要がある」と答弁しました。

 岩渕議員は、規制する側が規制される側に取り込まれるという過ちを繰り返してはならない、規制緩和は撤回すべきだと強く求めました。

 規制行政の現状は、電力会社の要求を受けてテロ対策施設の設置期限を設計工事計画認可5年後から運転開始5年後に延期するなど事業者への忖度(そんたく)が問題視されています。

 原発を事実上60年以上運転できるようにする法改定の際も原子力規制庁の担当者が経産省資源エネルギー庁の担当者と非公式に事前調整していたことが問題になりました。

 ノーリターン・ルールが緩和され、規制側と推進側の人事に壁がなくなれば、規制の独立性が脅かされることは目に見えています。福島原発事故の教訓を投げ捨てることは許されません。規制行政に求められるのはルールの緩和ではなく、独立性を強化・確立することです。