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2026年7月6日

きょうの潮流

 「核抑止力は機能していない」。米国務次官や北大西洋条約機構(NATO)の事務局次長を務めたゴッテモラー氏が最近そんな指摘をしていました。米誌『フォーリン・アフェアーズ』(6月12日電子版)への寄稿です▼ロシアの核脅迫があってもウクライナはロシアの戦略爆撃機の拠点を攻撃。イランは核保有国とみられているイスラエルを攻撃しました。ともに核保有国のインドとパキスタンは軍事衝突が絶えません▼これらの事実をあげて、同氏は「核報復の脅しによる抑止は弱体化している」と。核脅迫が無視される動きが続けば、核使用へとエスカレートする耐え難い圧力をつくりだすとも。核抑止が本気だと示すには実際に使わなければならなくなるというのです▼核抑止が崩れたらどうなるのだろうか。その問いを追求した近刊に『核戦争 世界滅亡までの72分間』(朝日新聞出版)があります▼米国の調査報道ジャーナリスト、ジェイコブセン氏が元米政府高官、元軍幹部ら47人を取材。その証言などをもとに、1発の核攻撃が全面核戦争に発展し、72分間で世界が焼き尽くされ、滅亡へ向かうシナリオを描き出したノンフィクションです▼「1万2000年かけて築き上げられた文明が、ほんの数分から数時間のうちに灰塵(かいじん)に帰す物語。これこそが核戦争の現実」と著者。唯一の戦争被爆国でありながら核抑止に頼る高市政権。こんな政治の転換こそ、まさに現実の急務です。