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2026年7月6日

政治考 比例削減と高市政権

国会軽視の果て 民主主義を破壊 野党は結束して反対

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(写真)与党の異常な国会運営に抗議する日本共産党の緊急街頭宣伝=1日、東京・池袋駅西口

 高市自民党と日本維新の会が衆院の比例定数の45削減法案を強行しようとする動きに対し、日本共産党や中道改革連合、国民民主党、参政党などが厳しく抗議し国会審議の空転が続いています。自民党内からも「(高市早苗首相は)いくら何でもやり過ぎだ」という声が出ています。

「審議吹っ飛ぶ」

 元閣僚の一人は「議院内閣制のもとで、内閣の成り立ちの基礎は議院の信認にある。その議院の成り立ちの基礎になるのが選挙制度だ。議員定数をどうするかは選挙制度をどうするかと一体というルールだ。政策や政治路線の違いをおいて、共通の土俵に関わる問題として全ての政党で議論してきた」と指摘。「小選挙区・比例代表並立制の中で、比例定数だけを突然45も一方的に減らすのは筋が通らない。比例の一定割合は民意の反映のために必要だとされた。共産党だけでなく、参政党も国民民主党も中道改革連合も大幅に議席を減らしかねない。多数党の独裁と言われても仕方ない」と語ります。

 別の自民党議員からもこんな声が出ます。

 「比例だけの45削減など、誰も望んでいない。自民党内にも維新にも反対はある。国会全体の意思ではなく、多数派だけで決めて押し通せということ。選挙制度は少数政党にも十分配慮するのがルールだ。今なぜこれをやらなければならないのか。維新は『身を切る』というが日本の議員定数は少ない。本来あるべき議論がどこにもない。強行すれば全ての国会審議が吹っ飛ぶ可能性がある」

再可決も検討へ

 首相官邸は、法案の衆院通過から60日以内に参院で採決がない場合、否決と見なして衆院で3分の2以上の多数で再可決するという「60日ルール」の検討に入ったとされています。参院では多数を確保できないもとで、衆院の圧倒的多数を背景にごり押しする構えを見せています。

 前出の元閣僚は「60日延長で再可決とは『参院は要らない』という態度だ。自民党内でも感情的な対立を呼ぶ。きちんとした議論をせず、議会政治をぶっ壊すやり方だ。責任感など全くない。自民党の幹事長室も国対も状況打開に機能せず官邸のいいなり。自民党本体も劣化し手をこまねいている」と嘆きます。

 年初の高支持率を頼りに、大義も国民への説明もない奇襲解散・総選挙、それで国会の開会が遅れ予算の年度内成立が苦しくなると審議時間の短縮を要求、中傷動画拡散問題では「秘書の陳述書を読め」など公然と答弁拒否―相次ぐ国会軽視の果てに、議会制民主主義の根本をいとも簡単に破壊する「高市独裁」ともいうべき暴走です。

小選挙区制強化 くらし・平和脅かす

 憲法43条は、衆参両院は「全国民を代表する選挙された議員でこれを組織する」と規定しています。「代表する」とは、社会に実在する民意をできるだけ忠実に反映することと理解されています。選挙制度は、民意の反映を重視してつくられるべきです。

少数意見を軽視

 小選挙区制度は「民意の集約」を目指すものとされてきました。一つの選挙区で1人を選ぶ小選挙区制では、多数政党が議席を独占し、議席構成のうえで「民意の集約」が行われます。そうなれば、国会は多数党に代表される意思で次々と「改革」が進められ、国会での熟議は軽視されます。一方で、比例代表制度は、価値観の多様化する現代社会で少数意見が軽視されず、「多様な民意を反映」するものです。

 その結果、小選挙区300・比例代表200で1996年にスタートしたのが現在の制度です。しかし、その後比例定数は24議席も削られ現在176に(小選挙区は11削減)。ここからさらに比例定数のみを45削減すれば多様な民意の反映の契機は大きく損なわれます。

 「民意の集約」に重きを置き、多数政党への議席の集中を目指したのは財界勢力の意向によるもので、新自由主義的な構造改革や改憲の政治をスピーディーに進めるためでした。

 現実にこの30年間で、大企業本位の新自由主義改革が進められ、大企業は650兆円超の内部留保を積み上げる一方で、社会全体では経済成長が止まり、国民の所得は上がらず、貧困化が進みました。また自衛隊の海外派兵が進み、「憲法解釈変更」で集団的自衛権の行使容認、敵基地攻撃能力の保有など、立憲主義が破壊されました。さらに、いま高市首相は9条改憲発議を急ぐ姿勢を強めます。

 比例削減をさらに進め、小選挙区制の比率を高めようとする高市自民・維新の暴走は、その根底で、行き詰まった新自由主義改革と米国の無法な戦争に参加する9条改憲への対抗勢力を排除していく狙いを秘めています。

 この危険なたくらみを絶対に許すわけにはいきません。

行き詰まり加速

 2週間足らずの17日に特別国会の会期末が迫っています。比例定数削減法案や副首都法案、皇室典範改定、国旗損壊処罰法案などの審議日程は残っていますが、与党による比例削減法案の強行姿勢のもとで野党の抗議は続きます。もし、比例削減法案を衆院で与党のみで強行採決すれば、参院での審議も含め、全ての法案の審議を自らストップさせることになります。

 参院では自民、維新のみでは過半数に足りない状況で、比例定数削減に固執したまま一連の法案を通すには、会期の大幅延長の上、60日ルールによる衆院での再可決によるしかありません。しかし、この乱暴なやり方は自民党内からも反発が噴出する可能性もはらみます。与党の横暴を批判する世論は急速に広がっています。

 自民党関係者は「維新との連携重視でどこまでやれるのか。こう言っている間にも円安と物価上昇は続いている。維新も大阪の意向で強硬路線をいっているが、東京の国会議員グループでは空気は異なる」とも述べます。

 今週には、社会保障国民会議での「消費税減税実施」の表明も観測されています。メディア関係者は「自民党内や財界からの反対の声が出る中で、『減税見送り』の見方も出されるが、そうなれば高市政権への国民の期待は吹き飛ぶ。他方、減税表明があっても、財源の説明がつかなければ金利の上昇と円安の進行というダブルショックに見舞われる」と指摘します。

 3日には、金利が2・81%と29年ぶりの水準に上昇する一方、為替介入の動きにもかかわらず為替レートは161~162円前後から上がらない状態が続きます。永田町の一部では「金利が3%を超えれば、4、5%へと一気に上昇する可能性も」とささやかれます。食料品の値上がりは今年中に2万品目を超えるという予測も出され、国民生活は逼迫(ひっぱく)しています。高市政権の行き詰まりは日を追って深刻さを増しています。暴走はその行き詰まりと一体のものです。(中祖寅一)