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2026年7月4日

皇室典範改定 政府案の問題点

憲法にも国民の総意にも反する
小池書記局長に聞く
男系男子固執 女性天皇の道閉ざす

 政府が提出した皇室典範改定案に対し、各党から反対や異論の声が相次ぎ、終盤国会の焦点となっています。改定案の問題点と日本共産党がどのような立場で臨んでいるかを小池晃書記局長に聞きました。


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(写真)取材に応じる小池晃書記局長

 天皇の制度の問題は、憲法の条項と精神に基づいて議論することが一番大事です。日本国憲法第1条は、天皇の地位は「主権の存する日本国民の総意に基く」としています。各種世論調査では女性天皇・女系天皇を認めるべきだという意見が多数で、男系男子を“不動の原則”とする改定案は「国民の総意」に基づくものではありません。

 日本国憲法第2条は皇位を世襲としていますが、戦前の大日本帝国憲法にあった男系男子による継承を意味する「皇男子孫」継承は削除されました。当時の憲法制定議会(1946年7月)で金森徳次郎国務大臣は、憲法2条について、なぜ「皇男子孫」を省いたのかとの質問に対し、根本的な支障がない限り男女の差別を置かないことが憲法の考え方だとして、「男女の区別につきましては、法律問題として自由に考えてよろしいという立場」だと答弁しています。

 憲法1条は天皇を「日本国民統合の象徴」としています。多様な性をもつ人々によって構成されている日本国民の統合の象徴である天皇を、男性に限定する合理的理由はありません。女性天皇・女系天皇も、憲法の条項に照らして認めるべきだというのが日本共産党の立場です。

突然盛り込む

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(写真)皇位継承全体会議に出席する日本共産党の(左から)小池晃書記局長、田村智子委員長=6月25日、衆院議長公邸

 衆参正副議長は全党会派が参加する全体会議で、「皇族数確保」に関する「立法府の総意」をとりまとめましたが、衆参13会派のうち7会派しか賛成しておらず、とても「立法府の総意」とは言えないものです。

 しかも、全体会議では、養子縁組は皇位継承の問題とは切り離し、皇族数の確保策について「立法府の総意」に基づき改定案をつくると言っていたにもかかわらず、全体会議で議論していなかったことが次々と改定案に盛り込まれました。

 とくに、養子の子が男子ならば皇位継承資格を持つとする規定を突然改定案に盛り込んだことは大問題です。「皇族数の確保のため」は建前であって、本質は女性天皇を完全に否定し「男系男子」による皇位継承を守るため、養子の男子を天皇にする改定案であることが明らかになりました。国民を欺瞞(ぎまん)するやり方で、女性天皇・女系天皇の道を閉ざそうとするものであり、到底容認できません。

 改定案は、皇族の養子を禁止する現行の皇室典範の規定を覆し、「旧宮家」の男系男子を皇族の養子に迎えることを可能にします。旧宮家とは80年前に現典範にもとづき皇籍を離れた人々です。旧宮家だからといって、一般国民として生まれ育ってきた人々を特別な身分である皇族にすることは、憲法14条1項が禁止した「門地による差別」に抵触します。旧宮家の男系男子の子孫を将来にわたって養子候補とし、準皇族ともいうべき新たな特別身分をつくるもので憲法に反します。

 旧宮家と今の天皇との共通の祖先は約600年前の室町時代までさかのぼります。はるか遠い血筋の男系男子の養子の男子には天皇になる資格を与える一方で、今の天皇の子である女性皇族やその子は天皇になる資格を与えない、というのが改定案の核心です。

 こうした養子縁組や旧皇族の皇籍復帰案は2005年の政府有識者会議の報告書で、「国民の理解と支持、安定性、伝統のいずれの視点から見ても問題点があり、採用することは極めて困難である」と完全に否定されています。報告書はまた、「これらの方々を広く国民が皇族として受け入れることができるか懸念される」と指摘しています。完全に否定されたものをなぜ復活させたかについては、全体会議で一度も説明がありません。

矛盾あらわに

 改定案は、女性皇族が結婚後も皇室から離れられないことを原則としています。皇室の行事を担うのに必要な皇族数を確保するためだけに女性皇族を結婚後も皇籍に残す一方、天皇になることを許さないのは男性皇族との差別だと言わざるを得ません。

 さらに、結婚した女性皇族には住民基本台帳を適用するとの規定が突然盛り込まれました。住民基本台帳を適用しながら、皇室にとどめ国民の権利を認めないのは大きな矛盾です。女性皇族を天皇にする道を閉ざし、女性皇族の配偶者や子を皇族にすることを閉ざすための布石なのではないでしょうか。

 自民党の中曽根弘文憲法改正実現本部長が天皇、皇后の長女愛子さんの皇位継承は「あり得ない」として、皇位を継承すれば、男子を産まなければいけないという「プレッシャー」がかかるなどと発言(6月28日)したことは、男系男子を“不動の原則”にすることの矛盾を認めた発言にほかなりません。

 朝日新聞の世論調査では、養子縁組をできるようにする法整備を「急ぐ必要はない」が71%、読売新聞の調査では皇室典範の議論が「十分だった」との回答は39%にすぎず、政府案が国民の理解を得られているとは到底いえません。憲法上、天皇の地位は「国民の総意に基く」ものであることから、立法府は、「立法府の総意」というフィクションをつくり上げるのではなく、本当の意味での国民の総意をつくることに力を尽くすべきです。

 具体的には、有識者や憲法学者の意見を聞く場を設け、国民の声を聞く公聴会やパブリックコメントの募集を行い、国民の総意を形成する努力をすることこそ立法府の責務です。

 「日本国民統合の象徴」の地位にある天皇を男性に限っている現状をただすことは、国民の中での両性の平等、ジェンダー平等を発展させるうえでも意義ある改革になります。日本共産党はその立場で臨んでいきます。