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2026年7月4日

イチからわかる憲法9条

第2部 安保との攻防(4)恵庭、長沼裁判
平和的生存権を求めて

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(写真)長沼裁判で自衛隊違憲判決がだされた札幌地裁前=1973年9月7日

 自民党政府は9条明文改憲が挫折したもとで自衛隊の拡充を追求しました。これに対し、安保闘争の高揚をうけ、国民のたたかいが立ちはだかります。その一つが1960年代からの憲法裁判でした。

 62年12月、自衛隊演習で深刻な爆音被害を受けていた北海道恵庭市の酪農家が、抗議のために自衛隊の通信線を切断。自衛隊法違反で刑事告発、起訴されます。被告の酪農家は自衛隊法が9条に反すると主張、憲法裁判になりました。

 弁護団は、自衛隊統合幕僚会議が秘密裏に行った朝鮮半島有事の日本への影響や自衛隊の対処をシミュレーションした「三矢(みつや)研究」が65年2月に暴露されたのをうけ、その資料を示し、自衛隊の違憲性を主張しました。

 違憲判決が出るとの予想もありましたが、札幌地裁は67年3月、通信線は防衛器物にあたらないとして、自衛隊法の憲法判断を回避。被告の酪農家を無罪としました。「肩透かし判決」と呼ばれました。

 73年には、札幌地裁が裁判史上初めて「自衛隊は憲法違反」との判決を出します。北海道長沼町の地対空ミサイル・ナイキ基地建設をめぐる長沼事件です。69年に国が地対空ミサイル基地建設のため同町の保安林指定を解除。住民が自衛隊は違憲として処分取り消しを求めました。

 一審の札幌地裁(福島重雄裁判長)は73年9月、有事の際には「第一に攻撃目標に」なるため、憲法前文が規定する「平和的生存権」が侵害されるおそれがあると指摘。自衛隊の組織、編成、装備、演習、訓練の実態を詳しく認定し「自衛隊は明らかに『外敵に対する実力的な戦闘行動を目的とする人的・物的手段としての組織体』と認められる」とし、9条2項が保持を禁ずる「戦力」にあたるとしました。自衛隊が違憲であると判示し、処分を取り消します。

 二審は76年8月、一審判決を破棄し、高度に政治的な国家行為は憲法判断をさけるという「統治行為論」で憲法判断を避けました。