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2026年7月4日

終盤国会の異常事態

与党、審議の前提崩す

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(写真)会談する森英介衆院議長(右から2人目)と与野党の幹事長、国対委員長。左端は日本共産党の塩川鉄也国対委員長=1日、国会内

 会期末(17日)が迫る終盤国会は、与党の強権的で横暴な運営により、審議そのものが成立しない異常事態に陥っています。与党側は「野党の審議拒否」だなどと吹聴していますが、審議の前提を破壊した原因と責任は、議会制民主主義のルールを踏みにじり、「数の力」で一方的に物事を押し通そうとする高市官邸と与党側にあります。

■第1段階―中傷動画で答弁拒否

 今回の混乱の第1段階は、高市早苗首相が秘書による中傷動画作成疑惑を巡り、6月22日の国会答弁で「秘書の陳述書を提出し、答弁に代えたい」などと述べ、事実上の答弁拒否をしたことにあります。首相による国会軽視の発言を受け、参院の野党各会派は、首相が出席する予算委員会での集中審議や党首討論の開催を要求しましたが、自民党が難色を示したため、新たな審議日程が立てられなくなっています。

■第2段階―定数削減、「副首都」法案提出強行

 与党が集中審議や党首討論に応じない一方で、衆院では6月26日、日本維新の会が主導する衆院比例定数削減法案と「副首都」法案の委員会への付託を与党だけで強行する異例の事態となりました。

 そもそも、議会制民主主義の根幹に関わる選挙制度改革は、与野党の枠を超えた幅広い合意のもとで進めるべきものです。このため、各党が参加する選挙制度協議会で議論が重ねられてきました。ところが与党はこうした積み重ねを無視し、突如として定数削減法案を提出。野党欠席のまま衆院政治改革特別委員会での審議を強行しただけでなく、採決まで狙う乱暴な手段に打って出ました。

 国会での審議の前提を欠く法案をいきなり持ち出し、数の力で押し切る与党の対応こそ、国会を混乱に陥れた決定的な引き金です。

■第3段階―「総意」にほど遠い「皇室典範改定」

 さらに事態を深刻にしているのが、政府が提出した皇室典範改定案です。皇室典範を巡っては、各党が参加する全体会議で「皇室数の確保」についての議論を重ねてきました。ところが、政府が国会に提出した改定案には、これまでの議論で示された枠組みには一切なかった皇位継承資格についての内容が盛り込まれたため、各党から異論が噴出。「立法府の総意」という議論の前提を崩した責任が政府側にあることは明らかです。

断念以外に道なし

 2日の自民党と中道改革連合の幹事長会談で、自民側は皇室典範改定案を最優先し、定数削減法案と「副首都」法案の審議は中断するとしました。野党側の抗議に押されつつありますが、依然として与党側は両法案の成立をあきらめていません。

 皇室典範改定案、定数削減法案、「副首都」法案―いずれもいまやらなければならない緊急性はなく、断念する以外に国会正常化の道はありません。6日には首相出席の参院決算委員会が開かれます。高市首相には真摯(しんし)に答弁を行う責任があります。

与党の異常な国会審議を巡る動き

6月22日 高市首相が衆参予算委員会で中傷動画疑惑などに関し、秘書の説明を陳述書として同委理事会に出すとして答弁を拒否

  23日 参院の共産党、立民、国民民主、公明、参政、れいわの野党6党が、予算委での集中審議や党首討論が開催されない限り、新たな日程協議には応じられないとの方針で一致

  24日 自民と維新が衆院議員比例定数削減法案と「副首都」創設法案を衆院に提出

  25日 共産党、中道、国民民主、参政、みらいの5党が、衆院議長らに定数削減法案の審議入りを認めないよう要請。政府が皇位継承全体会議で議論していなかった内容を盛り込んだ皇室典範改定案の要綱を提示

  26日 自維が定数削減法案と副首都法案の特別委員会への付託を強行し、一方的に審議日程を決定。野党5党の国対委員長が抗議し、今後一切審議に応じないと表明

  29日 自維が特別委で定数削減法案の審議入りを強行

  30日 衆院本会議で国旗損壊処罰法案の採決を強行し、与党のみの賛成で可決。法案を共同提出した国民民主、参政党も含む全野党が欠席し抗議。野党5党の国対委員長が衆院議長に国会正常化を申し入れ。政府が皇位継承全体会議で議論していない内容を盛り込んだ皇室典範改定案を衆院に提出

7月1日 衆院議長が与野党の幹事長らと会談し、皇室典範改定案の早期成立が最優先だと表明

  2日 自民幹事長が、皇室典範改定案成立を優先し、衆院比例定数削減法案と「副首都」法案の審議を「中断」すると表明。野党は2法案の断念を要求。参院野党9会派が、参院議長に国会正常化に向け政府・与党に働きかけるよう申し入れ