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2026年7月3日

主張

財政審の建議
展望なき医療・介護削減路線

 「日本列島を強く豊かに」という高市早苗政権で暮らしはよくなるのか―。政権の政策の骨格を示す「経済財政運営と改革の基本方針」(骨太の方針)に向け、財政制度等審議会(財務相の諮問機関)が6月26日、建議(意見書)をまとめました。

 暮らしの安心を支える重要な柱である社会保障政策をみると、建議に並ぶのは負担増のメニューばかりです。安心の展望は何もありません。

 医療では、▽70歳以上の人の窓口負担を可及的速やかに原則3割に▽70歳以上の外来受診負担に上限を設ける「外来特例」の廃止▽医療機関の窓口業務費用の全額患者負担化▽小規模な病院の集約・再編―などを求めます。

■軽い病気は保険外

 建議は、患者の医療への「寛大なアクセス」に重点を置く従来のあり方を見直し、今後は「小さなリスクは自助中心」で保険給付範囲を見直す必要があるとします。風邪などの軽い病気は公的保険から外すという方向です。しかし患者の自己判断で重い病気の発見が遅れ、重症化すればかえって医療費は増大します。

 「大きなリスクは共助中心」としますが、人工透析患者の自己負担に上限を設ける「特定疾病制度」の見直しなど、命を脅かす給付削減を盛り込んでいます。

 介護でも、給付の「適正化」=削減を求め、▽利用者2割負担の対象拡大▽要介護1、2の人の保険外し▽ケアマネジメント有料化―などを執拗(しつよう)に求めています。

 政府は、訪問介護事業所が高い利益をあげているとして2024年度、訪問介護の基本報酬を下げました。実際は4割近い事業所が赤字で、報酬引き下げが倒産・廃業を招き介護基盤を崩壊させています。ところが建議は、介護分野の利益率は「他産業と比較して高い水準にある」と強弁し、次期報酬改定での削減を打ち出しています。

■打開の方策はある

 建議は、医療・介護給付費が雇用者報酬の伸びを上回って拡大したことで保険料負担が増えたとし、「現役世代の保険料負担抑制」のためだとして給付削減と自己負担増を迫ります。

 その一方、公的医療保険で最も負担が重い国保料の自治体独自の軽減をやめさせ、同一県内の保険料の高い自治体に合わせて引き上げる「統一化」を強力にすすめるとします。「負担軽減」は名目で、社会保障の負担増を全国民に押しつけるのが狙いです。

 問題は、大企業の労働分配率がこの30年下がり続け、過去最高の利益を上げているにもかかわらず、労働者の賃金が上がらなかったことです。大企業の内部留保に課税し、中小企業を支援しながら賃上げすることが不可欠です。

 大企業役員など高額所得者の保険料負担の“頭打ち”を見直すとともに、医療・介護への国の拠出を増やし、国民の負担軽減と給付の充実をはかるべきです。大企業・富裕層への優遇税制をただし、大軍拡をやめるなら、国債などに頼らなくても社会保障を支える税財源を確保できます。

 これこそ、国民の暮らしを守り、本当に持続可能な財政・経済に道を開く改革です。