国内的にも国際的にも、いま「ジェンダー主流化」が求められています。3月に閣議決定された第6次男女共同参画基本計画にも明記され、12日には国土交通省が「ジェンダー主流化行動宣言」を出しました。
「ジェンダー主流化」とは、ジェンダー平等を達成するため、法律、事業などあらゆる分野で政策・施策が男性と女性に与える異なる影響を精査するプロセスです。
国連は1997年の国連経済社会理事会の決議で、「ジェンダー主流化」はジェンダー不平等が永続しないための「戦略」だとしています。
■中立的に見えても
2010年に国連のジェンダー関連4機関を統合して新たに発足した「国連女性機関」は、22年に「ジェンダー主流化ハンドブック」を発行しました。貿易、気候変動、デジタル、エネルギーなど一見「ジェンダー中立的」に見える領域でも、男女で異なる「影響」と「ニーズ」があるという前提に立って政策・施策をつくる必要性を指摘し、そのためには単に各分野で女性を増やすだけでなく、女性が意思決定に参加できることが重要だと強調しています。
国交省の「宣言」は、男性と女性とで「体格のほか生活スタイルや行動、安全に対する感じ方などが異なる傾向にある」とし、ジェンダーの視点を通じて差異を捉え、社会や日常生活で直面しやすい課題や要求に丁寧に向き合う必要性をのべています。
同省は、「スタッフや委員の男女バランスが取れているか」などのチェックリストも紹介しており、今後の取り組みが求められます。
国交省の資料によれば、スウェーデンのある市では、女性は自動車の所有率が低く自転車や徒歩で移動する傾向がありました。そこで、除雪の際、自動車道路より歩道・自転車道・バス停を優先した結果、高齢者や子ども、自転車利用者などすべての人にとって安全な道路となり、冬季の歩道での転倒事故が半減、医療費が削減されました。
オーストリアのウィーン市では、女性は徒歩や公共交通での移動が多いことから歩道を広げた結果、ベビーカーや車いすなどの人も移動しやすい道路設計になりました。
■女性の要求踏まえ
先進国・途上国、都市・農村にかかわらず、女性はいくつもの役割や活動(仕事、家事、育児・介護)を担い、家事やケアに関わる移動が多く、複雑になっています。日本でも子育て世代の1日の移動回数のうち「送迎」が男性の5倍です。
給与が低いことからも、世界共通して安い移動手段が選ばれており、セクシュアルハラスメント被害や、座席や手すりが高いなど女性の安全や体格への配慮がないという問題があります。東京都の調査では、電車や駅で女性の41%が痴漢被害に遭っています。
あらゆる分野にジェンダー視点を導入することが、誰もが安心・安全で暮らしやすい社会をつくることにつながります。国連が「ジェンダー主流化」を掲げてから間もなく30年。日本国内のあらゆる施策でジェンダー主流化が待たれています。

