(写真)自民党や参政党の議員が「押しつけ憲法論」を展開した衆院憲法審査会=5月28日
今の憲法、とりわけ9条は連合国軍総司令部(GHQ)に押しつけられたものだから、改正しなければならない―。改憲勢力が唱える「押しつけ憲法論」はいまだに根強く、今国会の憲法審査会で、自民党議員は「独立主権国家の憲法として不自然だ」などと主張。参政党は繰り返し強調しています。しかし、憲法の成立過程は、「押しつけ論」が表層的な俗論であることを示しています。
1945年8月の敗戦で日本政府が受諾したポツダム宣言は、侵略戦争を遂行した勢力の一掃や基本的人権の確立などを要求。GHQはその実行のため、当初、日本政府側に憲法改正作業を任せました。
ところが、46年2月に幣原喜重郎内閣がGHQに提出した憲法草案は、明治憲法下の戦争遂行の核だった天皇制の改革を含まない内容だったのです。マッカーサーは日本政府に任せる方針を切り替え、GHQ自ら草案をつくり日本側に提示します。その際、マッカーサーは(1)天皇の権能は憲法に基づき、国民に対して責任を負う(2)戦争の放棄と陸海空軍の不保持(3)封建制度の廃止―という三つの原則を提示しました。(2)の原則が現在の9条につながります。
これを受け日本政府は、同年3月、国民主権と戦争放棄を明記した草案要綱を公表しました。一方で、GHQは、草案要綱を作成するにあたり、自由民権運動以来の民間の憲法案を検討。検討された憲法案について、国民主権を採用していることなどをあげて、草案は「民主主義的で賛成できるもの」と評価していました。GHQの草案は、日本の良識的な意見を反映していました。
憲法の起草過程にGHQが関与したのは事実ですが、当時の日本政府にはポツダム宣言を反映した憲法を起草する力がなかったことや、民間の憲法草案が影響を与えたなどの事情がありました。
公表された草案要綱について毎日新聞が同年5月に実施した世論調査では、「象徴天皇制」の賛成は85%、「戦争放棄」賛成が70%。多くの国民に歓迎されていたことが分かります。国民の意に反して押しつけられたとはいえないのではないでしょうか。

