参院法務委員会で審議中の再審制度見直しの政府案(刑事訴訟法改定案)は、再審を求める人に新証拠を求める一方で、検察がどんな証拠を持っているか知らせず証拠に直接アクセスできない仕組みとなっています。25日の参院法務委員会では、参考人からその理不尽な仕組みを指摘する声が相次ぎました。
(写真)発言する(前列左から)高平、田岡らの各参考人=25日、参院法務委
政府案は検察・警察の手持ち証拠のリストについて、裁判所には提示するとしています。他方、再審を求める当事者らへの提示を義務づけるものとなっていません。この間、政府は「必要があれば裁判所が任意で証拠一覧表を出させる運用も可能」などと国会で答弁しています。
この日の質疑で参考人の田岡直博弁護士は、「最初から証拠一覧表制度を設ければ足りる」と“運用頼み”で逃げる政府案を批判しました。
通常の刑事裁判で、公判前整理手続きが行われる事件では、2004年から証拠一覧表制度が設けられています。
しかし、田岡弁護士は「(一覧表は)わずか3%の事件にとどまっている。97%の事件では証拠一覧表が交付された実例がありません。検察官は必ず拒否する。再審でのみ柔軟な運用をする保証はない」と指摘しました。
弁護士として再審事件の弁護団に加わる一橋大学大学院の高平奇恵教授は、再審を求める人が新証拠を見つけてこないと、検察が持つ証拠の開示手続きに進めない不合理を指摘しました。
政府案では、①再審請求と同時に請求人が新証拠を裁判所に提出→②裁判所が調査手続き→③裁判所が審判開始決定→④証拠提出命令や取り調べなどの審判手続き→⑤再審開始の可否を決定、となっています。
(写真)質問する仁比聡平議員=25日、参院法務委
高平氏は「(③の)審判開始決定をした後でないと(証拠提出を求めることが)できません」「不可能を強いることになるんじゃないでしょうか」と指摘。実際の手続きでも「再審請求と同時に『こういう証拠を取り調べてください』とした方が、再審開始の可否がより判断しやすくなる」と強調しました。
日本共産党の仁比聡平参院議員は、「(政府案では再審請求人の)手足はまだ縛られている」という高平氏の発言を紹介しながら、「えん罪被害者が裁判所に再審を求めること自体がいかに困難か」と参考人に意見を求めました。

