(写真)発言する志田参考人と江藤参考人(右隣)=25日、衆院内閣委
衆院内閣委員会は25日、「国旗損壊処罰法案」の参考人質疑を行い、参考人からは、処罰範囲が不明確で、表現の自由を侵害し萎縮させる危険や違憲性の指摘が相次ぎました。武蔵野美術大の志田陽子教授(憲法学)は「現在の案では将来憲法訴訟になった時に違憲と判断される可能性が非常に高い」と述べ、桃山学院大の江藤隆之教授(刑法学)は「廃案にすることも含む、より慎重な議論が求められる」と強調しました。
意見陳述で志田氏は、憲法21条は表現の自由を広く保障しており、人に不快感を与える表現があっても法による介入や規制はしないのが原則だと指摘。同法案では表現が広く取り調べの対象となり得る上、憲法19条の「思想・良心の自由」に警察が踏み込む問題が生じると批判しました。
江藤氏は、法案では自己所有の国旗の損壊も処罰されるが立法事実の説明が不十分で、国旗国歌法が定める国旗の形式以外の「国旗のようなもの」の損壊まで処罰されると指摘し、処罰対象が不明確で「罪刑法定主義上の問題がある」と批判しました。
日本共産党の畑野君枝議員は質疑で、同法案は刑罰で、憲法が保障する思想・良心の自由、表現の自由を侵害し、憲法31条が定める罪刑法定主義に反する「明白な違憲立法だ」と強調。志田氏は、すでに現在でも、芸術作品の内容によって公民館などの使用許可が取り消されるなど表現者に「非常に深刻な萎縮効果が生じている」と指摘し、同法案で萎縮が「加速する恐れがある」と述べました。
畑野氏は、法案提出者は「不快」「嫌悪」という感情、つまり主観を客観的に判断できると答弁しているが「要件も曖昧で処罰範囲は不当に広く刑罰としてありえない」と指摘。江藤氏は「指摘の通りだ」と応じ「(法案は)刑罰法規が備えるべき、明確性から逸脱している」「罪刑法定主義に違反する疑いがある」と強調しました。志田氏は、信条による差別を禁止している「憲法14条違反の疑いが濃厚だ」と述べました。
畑野氏は、同法案で私人による現行犯逮捕が可能なことについて、「思想・信条の異なる市民同士が『不快だ』『嫌悪感を持った』とお互いの言動を監視し合う息苦しい社会になるのではないか」と質問。江藤氏は「可能性はあり得る」と述べました。志田氏は、コロナ禍でも「ステイホーム」を巡って市民同士の「過剰な監視」と「通報」が行われたことなどを指摘。「通報が乱用的に行われる危険性は十分ある」と警鐘を鳴らしました。

