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2026年6月23日

きょうの潮流

 生きる道しるべをつくってくれたのは、ガマで出会った老夫婦でした。それは世界で認められた降参の印、外に出たら掲げるんだ、命(ぬち)どぅ宝だと背を押されて▼米軍に撮られた1枚のモノクロ写真。のちに本やドラマ、映画にもなった「白旗の少女」です。その少女は当時7歳だった比嘉富子さん。沖縄戦で親やきょうだいと離れ離れになり、死体が散乱する戦野をひとりさまよった体験は今も鮮明に▼戦後80年の節目に比嘉さんはこんなことを語っていました。「二度と戦争が起きないよう、若いみなさんに希望を託している」。それは大事にしていたものをすべて奪われ、人間が人間でなくなる狂気の世界を生きのびた少女の願いでした▼きょうは沖縄「慰霊の日」。追悼式が開かれる糸満市摩文仁(まぶに)の「平和の礎」(いしじ)には新たに95人の名前が刻まれました。これで総数24万2659人。その一人一人の命を、記憶するために▼毎年、朗読される「平和の詩」には豊見城市の中学2年、亀谷琉奈さんの「生きたいと願った証」が選ばれました。曽祖母の戦争体験を基に、恐怖と不安のなかで自分の足を血だらけになるほど引っかいてできた傷を「生きたいと願った証」だと表現しています▼今ある日常の大切さを同世代の人たちにも感じてもらいたい、と亀谷さん。戦後の日本を育てる根となり礎となってきた一つ一つの平和への思い。それを受け継ぐことは未来に向かう道しるべとなるはずです。