イランの人は紀元前334年のアレクサンドロス大王のペルシャ侵攻を「まるでそれが先週の火曜日に起きたことであるかのよう」に語る―。イラン出身で米コロンビア大学教授のハミッド・ダバシ氏はいいます▼月刊誌『地平』5月号に「イランはあらゆる侵略を乗り越えてきた」と題し文章を寄せています。アラブ、トルコ系民族、モンゴル、アフガニスタン、そしてロシア、イギリス、イラク…。イラン侵略の長い歴史に、今年2月、米国とイスラエルが加わりました▼イランの最高指導者を空爆で暗殺し、体制転覆をねらった無法な戦争。戦闘終結を合意した覚書では、「互いの主権と領土保全の尊重」「内政干渉を慎む」と約束し、米国の戦争目的は完全に破綻しました▼米国の敗北、イランの勝利とされる結果には、米国の衰退が刻まれています。テロ国家イスラエルの首相にそそのかされ、米軍幹部や外交官の反対を無視。AI任せの攻撃目標選定で、女子生徒150人以上を虐殺。イランのホルムズ海峡封鎖を予見できず、世界の経済が混乱。トランプ大統領自身の口汚い投稿や「文明抹殺」の脅迫がひんしゅくを買いました▼ダバシ氏は「イラン人は死と破壊の猛攻に耐え抜き…文化と文明の新たな繁栄を生み出し、さらには征服者たちのほうを文明化する」とも▼イランの復興を希望しつつ、米国の戦争を批判できない日本政府にも「文明化」が及んでほしいと願うものです。
2026年6月21日

