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2026年6月21日

政治考

暮らし置き去り 軍事に熱中 高市自民
正面対決貫く共産党

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(写真)「国家情報会議」設置法案を自民、維新、中道、国民、参政、みらいなどの賛成多数で可決。共産だけが塩川議員が着席して反対(右手前)=4月22日、衆院内閣委

 「物価高、ナフサ不足で困っているのに、誰かが『日の丸』を燃やしたり、壊したりしたということは聞いていません。いつ減税するのか、いつ不足が解消されるのか、知りたいのはそういうことです。高市政権の政策には、失望しかありません。どうか野党の真の国会議員の方々、国民を救ってください」

 共産党本部には有権者からこんな声が寄せられています。暮らし・物価高対策は置き去りのまま、軍事優先の暴走を続ける高市自民党への怒りの声、共産党への強い期待です。

 経済状況悪化のなか、高市内閣は武器輸出の全面解禁のほか、国家情報会議設置や公務員の予備自衛官動員を強化する法律を連続強行。今後、国旗損壊罪導入、非核三原則見直しを含む安保3文書の再改定、さらには「停戦」後のホルムズ海峡への自衛隊派兵の本格検討など危険な政策が目白押し。さらには、衆院比例定数45削減による独裁体制を狙い、9条改憲発議への国会論議の推進を呼びかけています。

 一方、円安インフレによる物価高騰で国民生活は厳しい状況に追い込まれています。5月の飲食料品の値上げは1000品目を超え、6月も1067品目が値上げします。4月の倒産件数は899件(帝国データバンク調査)と前年同月を上回り、12年ぶりの高水準となりました。

 自民党議員の一人はこう述べます。「国民生活の安定という根本をまずしっかりやって、その先にあれこれの安保関連をやるはずだった。政権ができて半年、総選挙から4カ月―経済対策では見るべき結果が出ないどころか、状況は悪化している。安保優先だといわれても仕方ない」

 この中で、国会内外で高市自民党と維新、国民民主、参政各党などの改憲・軍拡推進翼賛の動きとの正面対決を強めている日本共産党は、相次いで強行された国家情報会議設置法、改定防衛省設置法、予備自衛官等兼業特例法、改定経済安全保障推進法、改定ドローン飛行禁止法などの軍事関連法に衆院の委員会では唯一反対を貫きました。

 18日には、関連法に「反対だ」として「傍若無人かつ厚顔無恥な自民党に、いつも正面から立ち向かってくださる共産党を全力で応援しています」「頑張ってください!」という有権者のメッセージが党本部に届きました。同日の衆院憲法審査会でも改憲手続き法の改定に唯一反対しました。

 19日、国会前には2万6千人が詰めかけ「戦争ノー」「9条守れ」の声をとどろかせました。

軍拡・改憲の暴走 揺らぐ足場

行きづまる経済運営 「年後半は薄氷を踏む」

 内閣支持率が高い水準を維持しつつも、FNNと「産経」の5月世論調査では、高市政権の物価高対策に「不満」が58・7%に、日テレと「読売」の5月調査で「ナフサ供給に問題はないとの政府説明」に「納得できない」が64%に上りました。高支持率と物価高対策への評価の乖離(かいり)は鮮明です。ナフサ不足でインクが不足し、ポテトチップスの包装がカラーから白黒になると、首相周辺からはメーカーの「売名だ」との的外れないら立ちの声も漏れましたが、国民の視線は冷めています。

 「毎日」の5月世論調査では無党派層の内閣不支持は37%で、支持の35%を逆転。全体でも内閣支持率は50%で、総選挙後の2月の61%から3カ月で10ポイントも下落しました。時事通信の6月調査では前月比5・1ポイント減の54・3%で過去最低を更新。メディア関係者からも「トレンドは下落傾向に変わりつつある。中傷動画拡散問題などもあるが、主要因は経済運営の問題だ」との声が出ています。

米国を批判せず

 円安インフレに加え、米・イスラエルによる対イラン攻撃の影響で、原油高騰や石油関連製品の材料ナフサの不足による物価上昇圧力も強まっています。「その影響が顕在化するのはまだこの先だ」というのが専門家の見方です。原油は米ドルで取引されるため、原油高騰がドル高・円安をもたらし、円安がさらに輸入原油の高騰をもたらす負の連鎖が起きています。ところが高市政権は、米国の無法を一言も批判しないままできました。

 自民党の元閣僚の一人は言います。「総選挙で勝った高市首相は、賃金が上がらず、経済成長が止まり、物価高対策もできない自民党への不満のマグマを期待に変えた。『責任ある積極財政』『食料品非課税』の効果を示せなければ期待外れになる。減税も実施が来年では、それまでに焼け野原だ。減税の財源が赤字国債では、さらに円安を招き物価上昇だ。円安対策の市場介入に11兆円以上使ったというが、160円から上がらない。円安の加速と抑制を同時にやっているようなものだ」

 政策的行き詰まりは、補正予算の編成にも表れました。もともと「補正は必要ない」(5月11日)と強弁していた高市早苗首相は、経済指標の悪化と国民の生活不安を無視できず、方針の急転換を余儀なくされました。

 しかし補正予算は、日本共産党が求めた「暮らしの全分野の支援」にはほど遠く、予備費の積み増しによる補助金の継続などにとどめたもの。しかも「財源は赤字国債」との表明に、長期金利が一時2・8%と29年ぶりの高水準に急上昇するなど、インフレや財政悪化への懸念が表面化しました。ここでも「進退両難」の行き詰まりが深刻に。メディア関係者は「市場とアメリカの反応を警戒して補正予算に足踏みしていたが、やらざるを得なくなった。案の定、マーケットは厳しい反応だ」と指摘。米国も円安で進む貿易赤字の拡大を年初から嫌っていました。

地方に関心薄い

 前出の自民党議員も「補正予算の中身は、予備費の積み増しが主で、メッセージがほとんどない。ガソリンへの補助金も、与党内では打ち止めへ出口を探る動きもある。もともと大きな企業への支援に熱心で、零細や地方には関心が薄い」と指摘。「国会では圧倒的多数なのに、消費税減税はなかなか進まない。減税しても、物価高で効果はかなり相殺・減殺される。肝心の賃上げでは、恩恵は中小零細にはほとんど及ばず地方の労働者がさらに都市部へ流れる悪循環だ」とし、「このまま時間だけ経過すればガクンとくる。ここから先、年後半は薄氷を踏むような政局になる」と厳しい表情を浮かべます。

 17日、高市政権と一部の政党でつくる「社会保障国民会議」で自民党は、来年4月から2年間、食料品のみ消費税1%にする案を提示。食料品非課税(ゼロ)公約を守れない「代償」として、食料品消費税率1%に相当する範囲で「所得に連動した給付」の一部を27年秋ごろから実施する案を示しました。

 日本共産党の田村智子委員長は18日の会見で「自民党が食料品消費税ゼロと公約しながら、税率ゼロはレジ対応で時間がかかるからと1%、それでは公約違反と言われてしまうので1%分の給付金などという、悪手を打てば次の悪手につながる事態に陥っている」と指摘。「総選挙から4カ月以上、高市政権は何をしていたのか」と批判しました。

 ペンライトデモと9条改憲反対の署名運動のうねりが軍拡・改憲政治への包囲の輪を広げています。

 (中祖寅一)

 (3面)