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2026年6月18日

主張

安保3文書の改定
膨大な負担増強いる自民提言

 高市早苗首相が表明している、国家安全保障戦略など安保3文書の年内改定に向けた動きが本格化しています。

 高市首相は8日、安保3文書改定に関する「有識者会議」(座長・佐々江賢一郎元駐米大使)の第2回会合を開きました。9日には自民党が3文書改定に向けた提言をまとめました。

 3文書改定の狙いの一つは軍事費の一層の大幅増です。物価高の下、暮らしの厳しさが増している国民にさらなる負担増を強いるものです。

 自民党の提言は軍事費について、北大西洋条約機構(NATO)加盟国が中核的な軍事支出を国内総生産(GDP)比3・5%にする目標で合意したことを指摘。韓国が国防費をGDP比3・5%、豪州が3%にしようとしていることも示し、「裏付けとなる予算を確保し、装備・体制の両面において5年以内に防衛力の変革を成し遂げるべき」だとしています。

■米政権の軍拡圧力

 重大なのは、各国の軍事費の目標が米国のトランプ政権によって押しつけられていることです。

 実際、防衛省が「有識者会議」に提出した資料は、「防衛力の変革に向けて検討が必要な事項」として、トランプ政権が1月に公表した国防戦略で同盟国に国防支出の負担分担を求めていることを指摘しています。

 トランプ大統領が「GDPの3・5%を中核的軍事支出に、さらに1・5%を安全保障関連支出に充てることで、合計GDPの5%を達成する」という「新たな世界基準」を示し、「全世界の同盟国・パートナーに対し、この基準達成を提唱」しているとする国防戦略の記述を、わざわざ紹介しています。

 現行の安保3文書(2022年策定)は、関連予算を含む軍事費を当時のGDP比で2%にする目標を掲げ、26年度当初予算では同1・9%の10・6兆円となっています。財源の一部として法人税やたばこ税に続き、所得税が27年1月に1%増税されます。

 現在のGDPを基準にすれば、3・5%は23・6兆円、5%は33・8兆円に達します。トランプ政権の要求に応じれば、耐えがたい国民負担増になることは明らかです。

■平和の外交戦略を

 自民党の提言は、ロシアによるウクライナ侵略の例を挙げ、「少なくとも年単位での継戦能力を確保しておくことが必要」としています。

 一方で「わが国は、衣食住を構成する原材料のほとんどを海上交通路・シーレーンを通じた海外輸入に依存しており、有事にあっても、民間船舶が安全に通行できる状態を維持することは、国民生活を支える上で重要」と述べ、「太平洋・シーレーン防衛の強化」をうたっています。

 日本本土で数年にわたり戦争をすることと、シーレーンという広大な海域を防衛することを両立しようというのは、あまりに非現実的です。それでもあえて実行しようとすれば、際限のない軍拡に一層突き進むことになります。

 日本の平和と国民生活を守るには、戦争を起こさないための憲法9条に基づく外交戦略こそ必要です。