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2026年6月17日

主張

警察官の懲戒処分
その顔を国民に向けているか

 警察官の不祥事が止まりません。2025年に懲戒処分を受けた警察官や警察職員は、前年比98人(41%)増の337人となり、直近10年で最多になりました。

 警察は、国民の生命、身体、財産の安全、犯罪の捜査、基本的人権の保障にとって重要な責務をもっています。その警察で不祥事が相次ぐ事態は看過できません。

■止まらない不祥事

 25年に処分された内訳は「異性関係」が最も多く、「窃盗・詐欺・横領等」、「職務放棄・懈怠(けたい)等」が続きます。処分の発表を受け赤間二郎国家公安委員長は「警察組織全体の規律の緩みが懸念される」と語っています。

 ことしになってからも警察の不祥事は相次いでいます。容疑者同士を接触させる(愛媛)、手当の不正受給(福島)、盗撮(宮城)、証拠品の窃取(埼玉)…。神奈川県警では交通機動隊小隊7人が交通違反をでっち上げる組織ぐるみの不正が発覚しました。

 警察庁の楠芳伸長官は4月、首席監察官を集めた会議で「国民の信頼を損なう事案が相次いでいる。規律が緩んできていることを強く懸念している」と述べました。

 桶川ストーカー殺人事件などを契機に不祥事が大きな問題になった2000年、国家公安委員会は民間の有識者からなる「警察刷新会議」を設置する異例の措置をとったことがあります。この会議の緊急提言の結びでは、「一連の不祥事を見るにつけ、国民に顔を向けず、組織の『上』ばかり見ている警察幹部が増えつつあるのではないかとの危惧を抱かずにはいられない」との指摘がされていました。

 いまはどうか。

 昨年、警視庁の幹部ら19人が処分された大川原化工機冤罪(えんざい)事件(20年に逮捕)は、特別に悪質かつ深刻な警察犯罪でした。軍事に転用可能な噴霧乾燥機を不正輸出したと、でっち上げたもので、「警視庁公安部が、証拠ねつ造、不利な事実の隠蔽(いんぺい)といった、刑罰法規に抵触する行為を含む数々の違法行為を駆使」(東京都監査委員監査結果)した事案。政府が新たに重視した経済安保で実績をあげ、上部に称揚されることをねらった、「上を見る」典型です。

 公安警察のでっち上げ捜査を告発した元警部補は「子どもに誇れる警察官でありたかった」と心情を吐露しています。(「毎日」5月28日付)

■使命感と誇り持ち

 多くの警察官は日夜、犯罪や災害から市民を守るために尽力しています。しかし、「不偏不党、公平中正」の原則のじゅうりん、公安警察優先、キャリア組の特権など、国民の期待に背く組織の実態は数多く指摘されています。

 こうしたゆがみが表面化したのが大川原事件です。そこで明らかになった問題にメスを入れ、改革していくことが求められます。単なる規律の問題に矮小(わいしょう)化する限り、不祥事はなくならないでしょう。

 秘密警察の廃止、警察から独立した公安委員会、キャリア制度の特権をただすなどが不可欠です。警察官が使命感と誇りを持って国民が期待する仕事にとりくめるようにすることが求められています。