もしも寝ている間に大きな地震が起きて、枕もとの眼鏡が壊れたり、なくなったりしてしまったら。眼鏡なしでは何もできない強度の近視の自分は、たちまち災害弱者になってしまいます▼同じように就寝前に外すことが多く、なくなると非常に困るのが入れ歯です。ただでさえ心身が弱っている災害時、十分に物をかめなければ、より大きなダメージを与えかねません▼そんな時の強い味方がJDAT=日本災害歯科支援チームです。歯科医師や歯科衛生士、歯科技工士らで構成して、被災地に派遣。応急歯科医療や口腔(こうくう)衛生を中心とした公衆衛生活動を通じて被災者の健康を守り、地域歯科医療の復旧を支援します▼2022年創設。その2年後、能登半島地震で初めて派遣されました。隣県の福井県から歯科巡回診療車を借り受け、道の駅での治療も実施。しっかり食べられるようになったと被災者に喜ばれました▼災害時、誤嚥(ごえん)性肺炎により亡くなる高齢者が後を絶ちません。避難所の環境はいまだに改善されず、自由に動き回ることもままならないのが実情です。動けなければ首の筋肉が弱り、誤嚥の原因にも。高齢者以外の世代でも、動けないことによる“不活発病”は誤嚥性肺炎を誘発します。こうした中で「お口のケア」は、せっかく助かった命をつなぐ活動となっています▼大切なのは「食べる、話す、笑う」という人間の基本的な生活を取り戻すこと。被災者支援の原点です。
2026年6月17日

