日本共産党

メニューとじる

すべての記事が読める

赤旗電子版購読お申し込み

2026年6月13日

「戦争国家」の実相

武器輸出を「外交ツール」に
平和構築どころか 紛争を助長

図

 政府・与党は、武器輸出を「外交ツール」として本格的に活用し、豪州やフィリピンなどへの武器の売り込みを強めています(地図)。安保3文書の改定に向けた自民党の提言案は、武器輸出について同盟国・「同志国」と軍事的な連携を深め、有事の継戦能力を確保する「有力な手段」だと強調。しかし、歴史的にも武器輸出は緊張を生んで紛争を助長してきたことから、平和を構築する外交とは相いれません。

 「防衛装備移転・協力等、日本が持つツールをシームレスに活用・連動する」。この文言は防衛省ではなく外務省の資料にあるもの。高市早苗首相が5月2日、ベトナムで提唱した「進化した『自由で開かれたインド太平洋構想』(FOIP)」に盛り込みました。

 もともとFOIPは中国包囲網の構築を狙った構想ですが、「進化したFOIP」では重点項目の一つに「安全保障分野での連携拡充」を追加しました。他国軍に武器などを提供する「政府安全保障能力強化支援」(OSA)や政府開発援助(ODA)と武器輸出を組み合わせて、「同志国」との連携強化を目指すと明記。外交戦略に武器輸出を明確に組み込みました。

 これは、殺傷兵器を含む輸出の全面解禁(4月)を受けた方針。その狙いは、中国を念頭に置いた「武器ネットワーク」をつくることです。

 政府は「台湾有事」を念頭に、中国との戦闘で日本国土が長期間戦場になることを想定して「継戦能力」の強化を進めています。武器輸出によって軍事的な関係を強め、「同志国」軍と自衛隊が共通の武器を使い、製造設備を共有できれば、自衛隊の武器や弾薬が足りなくなったときに「同志国」から提供してもらえるという算段です。

 しかし、仮に日中で武力衝突が起こって長期化した場合、「同志国」が日本に武器弾薬を提供すれば中国に敵対国と認定されてしまいます。「同志国」にとって日本への軍事協力は高いリスクとなってしまい、武器弾薬の提供を拒む可能性があります。「継戦能力」として機能する保障さえありません。

 また、第1次世界大戦以降、日本は、当時のロシアや中華民国などに武器輸出を行い、内戦を激化させた歴史があります。日本が他国に輸出した兵器が「わが国にとって望ましい安全保障環境を創出」(防衛装備移転三原則)するどころか、紛争を助長したり、地域の緊張を高めたりする危険があります。