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2026年6月12日

広陵高校野球部暴力問題 前監督が理事・参与辞任

甲子園出場より命と人権が優先

 広陵高校野球部の中井哲之前監督は、学園および学校の役職すべてを辞しました。重大な人権侵害を行ったことを踏まえれば、辞任は当然です。

 5月末、第三者委員会の報告書は上級生の集団暴力を認定。さらに当時監督の中井氏が暴力事案の「高野連(日本高校野球連盟)への報告がチームの不利益につながる」と発言したことは、被害者への「申告を抑制させる…極めて不適切な発言であった」と、問題視していました。

 学生野球憲章には、その基本原理として「平和で民主的な人類社会の形成者として必要な資質を備えた人間の育成を目的とする」とあります。同野球部の運営はこれに真っ向から反し、暴力容認と独裁的な運営が行われていました。

 第三者委員会は報告書で「硬式野球部は学校内で特別な地位を有していた」とも指摘しています。中井氏の発言力は強く、施設、予算、人的配置などでも特別に扱われていたと。学校経営陣は、同野球部の実績に依存する一方、指導体制や暴力・ハラスメント防止体制などを十分に監督してこなかったと言及しました。

 学校宣伝効果のある「甲子園出場」ができる指導者を優遇し、子どもの権利を守ることは何も言えない…。そこからは教育や本来の学生野球とかけ離れた姿が浮かび上がってきます。

 部員の重大な人権侵害を引き起こした広陵高校は、徹底した原因究明と再発防止策が必要です。

 同時に、こうしたことは程度の差はあれ、多くの学校で起こりうる問題です。数年前、東北地方の私立高監督経験者から、自身も甲子園出場が至上命令となっていたとの反省の弁を聞いたことがありました。

 「甲子園が頭にあり、選手がちょっとミスすれば怒っちゃう。自分自身にプレッシャーがかかり、選手にきつくあたった」

 今回の報告書では、「部活動における競技成績は…生徒の生命・身体・人格権より優先されることはない」ともしています。

 この指摘を、高校野球に関わるすべての関係者が胸に刻みたい。(前野哲朗)