福島県桑折(こおり)町で5月30日、田んぼに平和への願いを込めて文字を描く「9条田んぼ」の田植えがありました。イラン戦争が影を落とす中で21年目を迎え、「平和でこそ農業ができる」との思いを強めています。(江田耀)
(写真)手作業で田植えする参加者=5月30日、福島県桑折町
(写真)2023年の9条田んぼ(福島県北農民連提供)
今年の文字は「9条と米は日本の宝」。晴れ渡った朝、農家など12人が、苗を一つひとつ手作業で植え付けました。
地域の農民連会員が農民連に呼びかけて始まったのが9条田んぼです。その後、文字が増え、標語を示す現在の形となりました。2022年2月のロシアによるウクライナ侵略直後は「プーチンはウクライナに侵略ヤメヨ 平和と自由を」でした。
根底にあるのは「平和でなければ農業はできない」という思いです。福島県北農民連の服部崇事務局長(55)は、戦争が始まれば担い手の若者が出兵し、農業資材も手に入らなくなると指摘。「農家の使命は国民を飢えさせないことだが、戦争で農業を続けられなくなれば国民を飢えさせてしまう。食と憲法9条はつながっている」と語ります。
イラン攻撃影響も
米国とイスラエルによるイラン攻撃による影響が、燃料や資材価格に出ています。田植えに参加した伊達市の野菜農家Sさん(40代)は、イチゴやキュウリなどを産直市場に出荷しています。「肥料や畑用のプラスチックシート、個別包装用の袋などの資材が2倍程度に値上がりしている」と話します。
経費が上がる一方で、今年は豊作で出荷量が多いため単価が下がり、いっそう採算がとれなくなっています。
桑折町を含む福島県北部は桃の一大産地。服部氏によると、出荷に欠かせないフルーツキャップやクッション材も価格が3、4割高騰し、資材業者からは、昨年注文した分しか納入できないと伝えられています。
田んぼの一部を貸すAさん(79)は、「みんなで楽しみながら田植えをし、意思表示できれば」と話します。自身も資材高騰の影響を受けているといい、「農業に石油関連製品は欠かせない。イラン情勢の影響は大きい」と語りました。
服部氏は「平和でこそ農業ができる。憲法9条を守ろうという活動を地域に根ざして継続することが周知につながり、9条を守る力になる」と話しました。

