(写真)発言する長谷部恭男参考人=10日、参院憲法審
(写真)発言する只野雅人参考人=10日、参院憲法審
参院憲法審査会は10日、衆院解散中の緊急時の対応を定めた憲法54条の参院緊急集会を巡り、参考人質疑を行いました。長谷部恭男早稲田大学教授、只野雅人専修大学教授の両参考人は、緊急事態には参院緊急集会で対応可能だとして、緊急事態条項の必要性に疑問を呈しました。
衆院の憲法審査会では自民党などが衆院法制局などに「『緊急事態条項』のイメージ(案)」を作らせ、「選挙困難事態」における衆院議員の任期延長や、内閣が緊急事態と認定すれば国会の議決を経ずに法律に代わる緊急政令の制定を可能にするといった各党の主張を並べています。
イメージ案を巡り、長谷部氏は、選挙を経ずに失職した議員の任期を延長するのは「異常な制度設計と言わざるを得ない」と指摘しました。
54条の1項は衆院解散後40日以内の総選挙実施と総選挙後30日以内の国会召集を定めており、改憲派にはこれをもとに参院の緊急集会は70日が上限で限界があるとする主張があります。
これに対し長谷部氏は、同条項は、従来の政府が長期に居座り続ける事態を避けるための規定で、議員の任期延長は「本末転倒」だと指摘。「制度整備を進めていくべきではない」と主張しました。また、緊急政令については、「極めて不穏当な提案」「日本という国のあり方自体が根本からゆがめられるリスクがある」と述べました。
只野氏は、緊急事態条項は「立憲主義のルールに穴を開ける側面がある」と指摘。長期にわたり全国的に選挙実施が困難な事態は想定しがたく、国会として必要な法整備を継続していけばリスクは大きく減らせると述べました。
(写真)質問する山添拓議員=10日、参院憲法審
日本共産党の山添拓議員は、緊急事態条項は必須の制度かと質問。長谷部氏は、参院の緊急集会が現行憲法の緊急事態条項だとして「これで十分間に合う」と述べました。
また山添氏は、参院の緊急集会は次の国会開会後10日以内に衆院の同意を必要とする暫定的な措置であり、通常時に戻す復元力の高い仕組みではないかと質問。只野氏は、参院緊急集会には衆院が欠けた状態を元に戻そうとする復元力が期待できると応じました。
山添氏は、国会議員の任期延長は民主的な正当性を欠くと主張。「参院の緊急集会とは全く異質の存在で、緊急時に名を借りた民主主義の停止というべき改憲は容認できない」と強調しました。

