まじめに営業し、がんばってきたお店が、理不尽なルール変更で廃業に追い込まれる事態が起きています。
外国籍の人が日本で事業を行うための在留資格「経営・管理」の許可基準が昨年10月、法務省令で改定されたためです。インドカレーやベトナム料理、輸入雑貨の店などが閉店危機に直面しています。
この12年間、「2人以上の常勤職員を雇用」か「資本金500万円」のどちらかを満たせば足りました。それが、資本金の要件が一挙に3千万円に引き上げられたうえに、「1人以上の常勤職員の雇用」も同時に満たすことなどが要件にされました。
■まともに調査せず
事業を始めるうえで資本金3千万円というのは非常に困難です。東京商工リサーチによれば、2025年に新設された日本の法人約15・7万件のうち、資本金3千万円以上は1%以下です。飲食業では3千万円以上は0・4%しかありません。
外国籍の経営者にだけ資本金を3千万円も求めるのは理不尽で差別的です。用意できなければ在留資格が認められず、外国籍経営者は締め出されます。高市早苗政権の外国人排除政策の一環です。
許可基準の厳格化は、自民党の片山さつき・現財務相や参政党、維新の会などの議員が「実体のないペーパー会社をつくって在留資格を得る悪用がある」と国会質問で問題にし、一部メディアも取り上げたことによります。
しかし、日本共産党の仁比聡平議員の質問に、法務省は不正行為の件数を把握していないと認めました。(5月14日、参院法務委)
仁比議員の追及によってその後、入管庁が示した資料によれば、23年9月から24年12月に東京出入国在留管理局が経営実態に問題があるとして調査し不許可にしたのは、申請数全体の約1%でした。
ペーパー会社への対策は必要ですが実態に即して行うべきです。一部の不正を取り上げ、さも多くの不正があるかのように言って、到底、無理な資本金を求めて経営実態のある会社を排除してはなりません。外国籍住民の日本社会への信頼を損ない、国際的な信義と道理に反します。
■生きる基盤を崩す
入管庁によれば、「経営・管理」在留者で資本金のデータがある約3・5万人のうち、3千万円以上の人は4・1%しかいません(24年末)。ほとんどの人が日本から退去を迫られ、新規開業もほぼできなくなるのです。エスニック料理店などは日本人の暮らしに根付いています。取引先など地域経済にも影響します。
「経営・管理」資格者のうち6年以上日本に住む人は55%、11年以上の人も3割おり(入管庁提出資料)、日本で生まれ日本語しか話せない子どももいます。生活基盤や、これまでの事業への投資を正当な理由もなく奪うのは、国籍に関係なく保障されるべき人権の侵害です。
政府は3年間の猶予期間を設けたうえで納税状況などを考慮し許否を判断するとしますが、すでに帰国を迫られた人もでています。資本金3千万円の基準は撤回し事業実態に基づく基準にすべきです。

