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2026年6月10日

中傷動画 疑惑ますます

高市首相 資格問われる

 自民党総裁選を巡る中傷動画問題で、高市早苗首相の説明と関係者証言の食い違いが解消されないまま、疑惑が深まっています。関与を否定する首相側の主張に対し、具体的な証言や報道が積み重なっているためです。疑惑が事実なら、高市氏の首相としての資格にかかわる重大な問題です。説明責任が厳しく問われています。

 問題となっているのは、2025年の自民党総裁選に関連し、高市首相の秘書から相談を受けたとするIT会社代表の男性が、小泉進次郎防衛相を中傷する動画を人工知能(AI)で作成・投稿したと証言していることです。『週刊文春』に続き、共同通信が報じています。

 これに対し、高市首相は8日、首相官邸で記者団の質問に対し、「私はこれまで答弁してきた。それは揺るぎない」と述べ、「他の候補者を誹謗(ひぼう)したり中傷したりということは決してやっていない」と改めて関与を否定しました。事務所が中傷動画の作成を第三者に依頼することはないとも明言しました。

 また、男性との関係については「面識はない」と強調。「面識」の意味については、「実際に会って名刺交換をした、相手の所属や氏名を承知している、ということはないということだ」と説明しました。

 しかし、共同通信は、男性が首相秘書と携帯電話でメッセージをやりとりし、その電話番号が秘書本人のものであると確認したと報じています。『週刊文春』も、男性と秘書のオンライン会議の様子とされる音声を公開しています。直接会っていないことをもって「面識はない」とする説明は成り立ちません。

 秘書と男性をめぐっては、立憲民主党が国会への参考人招致を要求。一方、自民党の鈴木俊一幹事長は同日の記者会見で「現時点で必要はないのではないか」と否定的な認識を示し、党として調査を行う考えもないと表明しました。

 高市首相は、他候補を誹謗中傷する行為は「私の流儀ではない」とも述べていますが、こうした主張と相いれない複数の証言や報道が示されているにもかかわらず、それらを具体的に覆す説明は示されていません。民主主義の土台に関わる問題であり、国会での集中審議が求められます。(中野侃)