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2026年6月8日

異なる文明間の対話と共存、文明の発展と個人の発展

第2回21世紀マルクス主義国際学術会議 緒方副委員長の発言(要旨)

 6日に中国福建省アモイ市のアモイ大学で、「中国文明と世界文明」をテーマに開かれた第2回21世紀マルクス主義国際学術会議での、日本共産党の緒方靖夫副委員長の発言(要旨)を紹介します。


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(写真)会議で志位和夫議長の著作を示しながら発言する緒方副委員長=6日、中国アモイ市

 日本は中国文明と古くから交わりをもち、シルクロードを通じて多くの文明をとり入れてきました。日中関係においても、現状の打開のためには政治的な解決が求められますが、両国民間の交流が果たす特別の役割があります。

 今日の世界で顕著になっている分断と排除の政治に対して、包摂と寛容をもって、国際関係を平和と公正の方向に前進させることが求められています。

1、文明の共存と社会発展の論理の尊重

 日本共産党は2004年、綱領に「社会制度の異なる諸国の平和共存および異なる価値観をもった諸文明間の対話と共存の関係の確立に力を尽くす」と書き入れました。その理由は以下の3点です。

 第1に、それぞれの文明には、歴史、国情による社会発展の内部の論理による発展の道があり、それへの理解と尊重が重要です。

 第2に、異なる文明の間には、異なる価値観もありますが、より深い根底には共通して普遍的な価値観があります。

 第3に、異なる文明の共存の大前提となるのは、普遍的な価値を明文化している国連憲章であり、その原則を守ることです。

党の対外活動の実践から

 党綱領に文明論を明記した背景の一つには、2000年前後の時期にアラブ諸国と交流した党の野党外交があります。

 私たちは2003年、イラク戦争の開戦前に中東6カ国を訪問しました。このとき実感したことは、宗教や政治体制が異なっていても、どの政府とも戦争反対、国連憲章に基づく外交的な解決が必要とする立場は共通していることでした。

 印象深かったのはサウジアラビア訪問でした。リヤドでの会談で、イラク戦争反対、国連憲章に基づく政治解決で意見が一致しました。サウジ側の勧めで、ジッダにあるイスラム協力機構(OIC)事務局を訪問し、実りある会談をしました。これを契機に、23年、マレーシアで開催されたOIC首脳会議にゲストとして参加しました。

 東京の西側諸国の外交官にこの訪問について話しても、“イスラムと共産主義とは水と油の関係だ”といって、今でも容易に信じないのです。

 また、カトリックが多数をしめるラテンアメリカとの交流をすすめました。多様性をもつASEAN(東南アジア諸国連合)諸国からは、徹底した対話により、相互理解、信頼醸成を豊かに発展させている活動を学びました。

2、共存の基礎は国連憲章と普遍的人権

 共存の基礎には、国連憲章と並んで、普遍的人権があります。文明の進歩に従い人権は進展し、人権が保障される社会ほど文明は持続的に発展するという相互関係にあります。

 1993年の世界人権会議が採択したウィーン宣言は、二つの原則を明記しています。

 第1、自由と人権の発展は、それぞれの国によってさまざまなプロセスをとり、特定のモデルを性急に押し付けるべきではないことです。

 第2、人権と基本的自由は普遍的性格をもっており、人権と基本的自由を「助長し保護する」ことは、「体制のいかんを問わず、国家の義務である」ということです。

 世界のどの国であれ、人権と自由の問題でこの国際的到達点に立ち、対応をとることが求められます。

3、文明の担い手としての個人の発展について

 文明の発展と、その担い手である個人の発展との関係について、マルクス主義の観点から発言します。

 カール・マルクスは、『資本論草稿集』のなかで、資本主義的搾取によって奪われているものは何かについて次のように述べています。「資本家は自由な時間、すなわち文明を、横領する」と。

 搾取によって奪われているものは「モノ」や「カネ」だけではない、「自由な時間」――本来なら労働者のものであるべき「自由に処分できる時間」が奪われている。そして、「自由に処分できる時間」こそは、労働者の知的・精神的発展のための最大の条件であって、それを横領することは、「文明」の横領にほかならない。こうした厳しい告発です。

 そして、マルクスは、『資本論』のなかで、社会主義・共産主義社会の基本原理を次のように規定しています。「各個人の自由で全面的な発展を基本原理とするより高度な社会」と。

 資本主義的搾取をなくすことによって、すべての諸個人が十分な「自由に処分できる時間」を得て、自らの潜在的な力を自由に全面的に発展させることができる社会。そのことによって社会全体の文明が豊かに発展し、それがまた諸個人の発展をさらに促す。そうした諸個人の発展と社会=文明の発展の好循環にこそ、私たちが目指す未来社会の最大の輝きと魅力があることを強調します。

 私たちは、マルクス探究を通じて、このような自由論、未来社会論を明らかにし、その立場に立っての理論交流を、この間、アジア、欧州、北米でも開始しています。中国のみなさんとも、これら重要な問題で自由で率直な意見交換ができればと願っています。