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2026年6月8日

きょうの潮流

 かつては、「金のために汚い仕事もいとわず、ときには命まで差し出す賤業(せんぎょう)」とさげすまれていました。医師や患者からも余計なことはするなと見下されながら▼医学や看護の知識も乏しく、まだ伝染病が猛威をふるっていた頃。日本でトレインドナース(看護師)をめざす女性たちがいました。朝ドラ「風、薫る」は看護の礎を築いた人たちの奮闘記です▼原案の田中ひかる著『明治のナイチンゲール』によると、主人公のモチーフとされる大関和(ちか)は盟友の鈴木雅(まさ)とともに看護師の養成や普及に生涯をささげました。和は強い意志を持った「わきまえない女」だったといいます▼女性が社会に出て働き自立することが難しい環境で看護という職業を確立した和たち。その生き方は女性の地位向上にもつながりました。いまでは男性をふくめ、150万人の看護師が全国で働いています。しかし--▼「7割をこえる施設で看護職員が不足し、患者サービスの低下を招いている」。医労連が今年実施した調査で看護職の減少が進み、医療体制が悪化している実態が明らかになりました。不足の解消には賃金をはじめ処遇の改善が早急に求められると▼ドラマで主人公を演じる見上愛さんは「人の命を扱うお仕事は、想像がつかないくらい苦労があると思います」。命と健康をつなぐ献身に伴わない待遇。それはコロナ禍でも。ケア労働への過小評価は、人を粗末にする国の姿を映し出しています。