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2026年6月7日

主張

長生炭鉱日韓合意
遺骨収容は日本政府の責任で

 戦時中の1942年に海底炭鉱・長生炭鉱(山口県宇部市)で起こった水没事故をめぐり犠牲者の遺骨の身元確認で日本政府と韓国政府が協力することで合意しました。

 遺骨の遺族への返還に向けた重要な前進です。遺骨を収容するため、民間団体任せでなく日本政府が責任を果たし、今までにない対応をとることが求められます。

 長生炭鉱の水没事故では183人が亡くなりました。その7割が朝鮮半島からの労働者でした。戦争遂行のための石炭増産という国策が招いた惨事であり、植民地支配による強制労働の犠牲者です。

 この間、市民団体「長生炭鉱の水非常(水没事故のこと)を歴史に刻む会」(刻む会)が手弁当で潜水調査に取り組み、昨年8月に初めて遺骨を回収しました。

■植民地支配の結果

 5月19日に行われた日韓首脳会談後の共同記者発表で、韓国の李在明(イ・ジェミョン)大統領は遺骨のDNA鑑定がまもなく始まると述べ、歴史問題がある両国にとって「人道主義的な事案から協力していく、小さいが非常に意味のある第一歩だ」と表明しました。

 日本は1910年、韓国併合条約により朝鮮を植民地とし統治下に置きました。朝鮮の人々は甘い言葉でつられたり、だまされたりして日本企業に動員され(強制連行)、厳しい監視の下、長時間働かされ(強制労働)、命を失う人もいました。

 石炭にエネルギー資源を求めてきた日本は、朝鮮人労働者を危険な労働に投入。宇部には最も多いときで1万人以上の朝鮮人が暮らしていたといわれます。長生炭鉱では、高さ3メートルほどの板と鉄条網で囲まれた監視付き・外出禁止の「寮」に入れられ、1日12時間の労働を強いられました。

 日本共産党の小池晃書記局長は参院決算委員会(1日)で、長生炭鉱の労働について、日本が32年に批准した国際労働機関(ILO)29号条約(強制労働条約)にある「地下鉱山での強制労働の禁止」に違反しているのではないかと追及しました。上野賢一郎厚労相は、「当時の労働実態を正確に確認するのは難しい」と答え、強制労働を認めない立場です。

■過去への謝罪込め

 「刻む会」は毎年水没事故の日にあわせて韓国から遺族らを招き追悼式典を行ってきました。2013年には「強制連行 韓国・朝鮮人犠牲者」追悼碑を完成させました。独自に収容作業に取り組み、今年2月にも遺骨を引き揚げ、坑道に多くの遺骨が残ることを確認しました。しかし、調査に参加した台湾人ダイバーが亡くなる事故が起き、危険を伴う海底調査を民間任せにする政府の姿勢が問われていました。

 高市早苗政権には、日本の植民地支配と強制連行・強制労働という過去の歴史の真実に誠実に向き合うことが求められます。

 遺骨収容のための国家的プロジェクトを立ち上げ、抜本的に取り組みを強化すべきです。過去への謝罪も込めて、遺骨の収容と韓国に住む遺族への返還は加害国・日本の政治的、道義的責任です。