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2026年6月5日

「戦争国家」の実相

自民 虚構の「継戦能力」
弾薬など軍事の備えだけ 食料・エネルギー後回し

 「少なくとも年単位の戦闘を前提に、十分な備蓄の積み増しを進める」―。「戦争国家づくり」の指針・安保3文書の改定に向けた自民党の提言案は、「台湾有事」を念頭に、中国との戦闘で日本の国土が長期間戦場になることを想定し、長期に戦い続けるための「継戦能力」の強化が重要だとしています。ところが、備えの中身は弾薬など自衛隊の戦闘能力に関わるものばかりで、国民の食料やエネルギーなどの確保についての具体策はありません。


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(写真)実弾射撃をする10式戦車=2025年6月8日、静岡県御殿場市

 いざ戦争になれば、自衛隊は戦い続けることができても、国民は飢えてしまう―国民の命に無責任な自民党政治の正体があらわになっています。

 提言案は、2022年2月のロシアによるウクライナ侵略から4年が経過し、あらゆる種類の装備と弾薬が大量に消費されているとして「継戦能力」の重要性を強調。▽平素から弾薬・部品・燃料・食料などの十分な備蓄や保管体制の整備▽部隊や物資を運ぶ船舶など輸送力の強化▽負傷した隊員のための医薬品や病床の確保・備蓄―などを挙げています。

 一方、輸入物資を運ぶ船舶の多くは中国の勢力圏とされる第1列島線など台湾周辺の海域を航行しており、戦争で海域が封鎖されれば、輸入物資の多くが途絶える危険があることは誰の目にも明らかです。従って「年単位」の戦争を想定するなら、自給率が38%まで落ち込んでいる食料をどう確保するのかは当然問われなければなりません。

 ところが、提言案には食料自給率への言及は一切ありません。そればかりか、政府の有識者会議や防衛省内の会議でも食料自給率に関する検討は全く行われていないのです。

 そもそもウクライナは、自国民に食料を供給してもあまりある100%超の自給率を誇り、戦時下の24年でも、約100カ国の計4億人あまりを養うのに十分な小麦やトウモロコシなどの農産物を輸出(日本貿易振興機構=JETRO調査)しています。

 さらに日本は、エネルギーの原材料となる1次エネルギーの約80%を石油や石炭などの輸入に依存し、24年度のエネルギー自給率は約16・4%と経済協力開発機構(OECD)38国中37位で最低レベルです。24年度時点で原油の95%を中東に依存しており、戦闘開始で台湾周辺や南シナ海などが封鎖されれば、現在の輸入航行ルートの多くが輸送困難な状況に陥ってしまいます。

 そうなれば、大量の燃料を消費する戦闘機などの運用にも影響が出ることは確実です。政府・自民党が掲げる「継戦能力」は空虚です。

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