労災保険法改正案が5月29日の衆院厚生労働委員会で、全会一致で可決しました。日本共産党の辰巳孝太郎議員は質疑で、遅発性の疾病にともなう労働災害に対し、旧基準で算定している休業補償や遺族補償年金の支給額を引き上げるよう迫りました。
辰巳氏は、アスベスト疾患は暴露から発症まで30~40年かかるのに、新基準では暴露時の賃金と発症時の賃金を比較して高い方を基礎に給付額を算定する一方、すでに旧基準で受給している被災者は低い給付のまま取り残されると批判。「労働保険審査官や労働保険審査会は、不服審査請求では新基準を適用できるとの解釈を示している」と追及し、見解をただしました。
厚労省の岸本武史労働基準局長は「給付基礎日額は、事由が発症した当時の算定方法で適正に決定されたもの。すでに決定したものは算定しなおさず、今後発症した疾病を対象とする」と答弁しました。
辰巳氏は「労働保険審査会は申請者の立場に立った判断をしている」として、厚労省もこの立場に立ち、被災者が不服審査請求をしなくてもよい扱いにすべきだと主張。岸本局長は「法改正後に労働政策審議会で議論していく」と応じました。
改正案では、遺族補償年金の支給要件の男女格差の解消、脳・心臓疾患や精神疾患など労災に該当するのか判断が容易ではない疾病について、保険給付請求が可能な期間を2年から5年に延ばすことや、これまで任意だった小規模な農林水産業者の労災加入の義務化などを盛り込んでいます。

