高市早苗首相が5月30日、自身のX(旧ツイッター)への投稿で、4月に改定した「防衛装備移転三原則」とその「運用指針」について説明をしています。今回の改定に対し「誤解」や「議論」があるためというのが理由です。
三原則と運用指針の改定は、国会でのまともな議論もなく、高市内閣が一方的に決定しました。今回の投稿も一方的なもので、論点そらし、ごまかしに終始しています。
■長射程ミサイルも
首相は「今回の改正で『殺傷兵器』を輸出できるようになった」という「誤解」があるとして、「初めて(殺傷兵器の)移転が可能となったのではありません」と述べています。
これまでも武器の完成品は、救難、輸送、警戒、監視、掃海という5類型に限定して輸出を可能にし、自己防護のための殺傷兵器も搭載できるようにしていた▽次期戦闘機など国際共同開発・生産したものや、パトリオット・ミサイルなど外国から許可を得て製造するライセンス生産品もライセンス元への輸出を可能にしていたと言います。
これは、論点をずらした開き直りでしかありません。
今回の改定の最大の問題は非戦闘目的に限定していた5類型を撤廃し、殺傷能力の高い大型攻撃兵器をはじめ全ての武器輸出を解禁したことです。国際共同開発・生産したものやライセンス生産品に限らず、国産の長射程ミサイルや戦闘艦などが初めて輸出できるようになりました。
5月31日の日比防衛相会談で、「あぶくま」型護衛艦のフィリピンへの輸出で大筋合意したのも、地対艦ミサイルの輸出について議論を進めていくことを確認したのも、今回の改定で可能になりました。首相は、こうしたことに一切触れていません。
■「平和国家」に逆行
首相は「『殺傷兵器』は輸出すべきではない」という「議論」に対し、「日本の防衛装備品は、いわば事態の発生を『未然に防ぐ』ためのもの」「平和国家としてのこれまでの歩みと基本理念を堅持することに、全く変わりはありません」と述べています。
最新鋭の「もがみ」型護衛艦の能力向上型に複数の国が関心を寄せているのもそうした認識に基づくものと考えられるとしています。しかし、同艦は、政府が「専守防衛」を逸脱し「敵基地攻撃能力」として導入を進める長射程ミサイルを搭載できます。
同艦を次期戦闘艦にすることを発表しているオーストラリア政府は説明資料で「(長射程ミサイルにより)海上や陸上の目標を水平線を越えた場所から攻撃できる」とし、「より大規模で殺傷能力の高い水上戦闘艦隊を海軍にもたらす」と強調しています。
オーストラリアは、米国のイラクやアフガニスタンへの侵略戦争に軍隊を派遣しています。
日本が過去に武器輸出を全面禁止していたのは「平和国家」として「国際紛争を助長することを回避するため」でした。今回の改定が国際紛争を助長する危険を高めることは避けられません。「平和国家の歩み」に逆行する武器輸出はやめるべきです。

