高市早苗首相の陣営が総裁選や総選挙で他候補をおとしめる中傷動画を大量に拡散した疑いが持ち上がっています。高市首相は否定しますが、具体的に指摘された疑惑にはまともに答えません。
正体を隠した中傷動画で圧倒し世論を誘導する。公正な選挙、民主主義の土台にかかわる重大な問題であり、ましてや首相がかかわる問題だけに黙過できません。
■オンラインで会議
『週刊文春』によると、高市首相の公設第1秘書(高市事務所長)がAI分野に詳しい起業家に依頼して、中傷動画を1日100~200本も大量に拡散しました。2025年の自民党総裁選では、小泉進次郎衆院議員を「カンペで炎上!無能で炎上!ボロが出まくって大炎上!」などと中傷する動画を流しました。
先の総選挙では、中道改革連合の中心メンバーを狙い撃ちしました。多くが落選した選挙結果を受け、秘書は「旧立憲民主の害獣を沢山(たくさん)駆除することができた」と起業家にメールを送信しています。
起業家は「秘書から『陣営でも切り抜き動画の作成を業者に頼んでいるが、数字が伸び悩んでいる』『力を貸してほしい』とのことだった」と経過を説明しています。
高市首相は、「高市事務所及び高市陣営においては…他の候補者に関するネガティブな情報を発する、あるいは、そのような動画を作成して発信するといったことは一切行っておりません」(『週刊文春』への回答)と全面否定。「週刊誌の記事を信じるか、秘書を信じるかというと、私は秘書を信じる」(国会答弁、11日)などと言うだけで、具体的事実の有無については答弁を避けてきました。
高市首相が、自身も秘書も起業家と面識がないと繰り返したのにたいし、起業家本人がYouTube番組に出演し、「秘書と直接会わずオンラインで会議をした」と証言しました。
さらに秘書が起業家に送信したショートメールやLINE、シグナルの計67通の記録があり、ウェブ会議も少なくとも8回繰り返していることも報じられました。
しかし、高市首相は「秘書に確認したが記録もない。ないものはないと申し上げるほかない」(国会答弁、28日)と繰り返すだけです。
高市首相の対応に疑問と批判が広がり、各紙社説が「首相の説明納得できぬ。徹底した内部調査を行い、説明責任を尽くすべき」(「朝日」)「事実なら首相の地位の正統性にも関わる。疑念を払拭する説明が必要だ」(「東京」)などと指摘するのも当然です。
■民主主義の土台が
選挙におけるSNSのあり方が問われているときだけに、民主主義の土台にかかわる重大問題として解明しなければなりません。
高市首相には、自らにかかわる疑惑について、きちんと説明すべき責任があります。
問われていることをはぐらかすのでなく、メールでのやりとり、オンライン会議の実際、秘書と起業家の関係など具体的な事実を徹底的に調査・確認し、国民の前に明らかにすべきです。

