コーヒーショップがひしめく韓国。なかでも大手スターバックスの商品券は誕生日の贈り物や、お礼の品などで手軽に活用されてきました▼その商品券が返却され、店舗もガラガラ、全国で不買運動が広がっています。きっかけは飲み物容器の大容量タンブラーを販売促進する「タンクデー」イベント。開始日の5月18日は、46年前に韓国南部の光州市で民主化を求めて立ち上がった市民を戒厳軍が制圧した光州事件を悼む日でした▼タンクは当時、市街に繰り出した戦車を想起させるものに。娘や息子が、父や母が、恋人が、親友が死んでいったあの日を、いまも胸に刻む韓国市民。その傷口をえぐるようなイベントに怒りが爆発しました。李在明(イ・ジェミョン)大統領も「市民の血が流れた闘争を冒とくするイベント」だとSNSで強く批判しています▼光州では毎年この日を前後して過去の痛みを忘れず、現在に生かそうと追悼式や催し物が行われています。今年も日本から市民が訪れ、民主主義を学び、連帯し、友情を深めあいました▼韓国と日本の市民合唱団や歌手が集まった「韓日国際交流音楽会」も、その一環です。光州事件を象徴する「あなたのための行進曲」が会場いっぱいに響きわたり参加者も交えた大合唱に。その歌声に涙をぬぐう市民の姿がありました▼「愛も名誉も名前も残さず/一生進んでいこうという熱い誓い」。韓国がいまも抱える、うずきでもある光州事件。それは今日の民主的な社会を育んだ、萌芽としての誇りでもあります。
2026年5月30日

